NO.231 スライスダイヤモンド。半導体に活用できる新しいスライス技術を千葉大学の研究チームが開発
ダイヤモンドといえば、ラウンドブリリアントカットをイメージされる人が多いでしょう。しかしダイヤモンドの形は、他にもオーバル、マーキース、エメラルド、スクエアなどさまざまあります。
中でも今ちょっと注目されつつあるのが「スライスカット」と呼ばれるもの。ダイヤモンドの原石を薄く輪切りにスライスカットしたもので、西洋のカッティング技術が登場するずっと以前、インドで誕生しました。
厚さが約1mmと薄く、両側が平べったい形をしていて、輝きは従来のダイヤモンドに比べると柔らかく、角度や光の加減によりさまざまな表情を見せてくれます。
加工される前の原石を使用しているため内部に黒いカーボンや白色の内包物などがあり、最近話題の合成ダイヤモンドにはない、天然石ならではの特徴も魅力。それが、「個性的」「アーティスティック!」とアメリカで評判となりました。
スライスダイヤモンドのカットは、主にインドの熟練の職人によって行われています。
ジュエリーにおけるスライスカットのダイヤモンドが復活の兆しを見せる一方、半導体部門においてもダイヤモンドのスライス技術が注目されています。
当ブログNo.135でも取り上げた、次世代に向けたダイヤモンド半導体の開発。東京の民間企業と九州の佐賀大学の研究者たちの共同作業によって、ダイヤモンドウェハと呼ばれるダイヤモンドの薄い板を、5cm角のサイズにすることに成功したことが話題となりました。
半導体産業においてダイヤモンドは魅力的な素材ですが、現時点ではある一定の薄さにスライスするためにはウェハを1つずつ合成するため、手間がかかり、製造コストが法外に高くなります。そのため、効率よくスライスできる技術の開発が待たれていました。
2023年5月18日、千葉大学大学院工学研究科の比田井(ひだい)博文教授率いる研究グループがその問題を解決する技術をオンライン上で公開。6月23日発行された『Diamond & Related Materials』(ダイヤモンドと関連素材)という国際的な学術雑誌にその詳細が掲載されました。
ダイヤモンドをはじめ、結晶はさまざまな結晶面を持ち、簡単にスライスできる面がある一方、亀裂が生じてしまう面もあります。
比田井教授の研究グループは、レーザーを使用して選択した平面に沿って亀裂を入れて影響を与えることで、この問題を回避する方法を模索しました。そしてついにその解決法を見つけたというわけです。これによりダイヤモンド半導体の開発促進に拍車がかかることは間違いありません。
この解決法を利用し、次世代のコンピュータや通信技術の強化を考えているのは、千葉大学だけではありません。
アマゾン ウェブサービス(AWS)は2023年4月、デビアスの子会社であるエレメント シックスと提携して、量子鍵配送に使用する合成ダイヤモンドを開発しました。
結晶には「カラーセンター」と呼ばれる欠陥があり、それを使って量子情報を含む光の粒子を吸収し再放出するという構想で、AWSはこの現象を利用してグローバルネットワークに拡張できる複数のリピータ(中継器)を作りたいと考えています。
古くはインドで生まれたスライスカットが、今はジュエリーだけではなく、レーザーなど科学技術を使った形で次世代半導体に向けて利用されていくという事実。やはりダイヤモンドは、「宝石の王様」ですね。
ダイヤモンド半導体を使った電気や通信などの進化は私たちのライフスタイルにどのような変化をもたらすのでしょう、興味は尽きません。
TOP画像はイメージです。
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ダイヤモンドの合計0.5ct、トップの直径が約1.3cm。胸元で存在感を放つダイヤモンドネックレスです。フラワーモチーフになるようにいくつものダイヤモンドをセッティングし、一部に設けられた空間により、デリケートな雰囲気が漂います。プラチナ、イエローゴールド、ピンクゴールドの3カラーからお選びいただけます。
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