NO.307 ダイヤモンド最大手デビアス、長年のパートナーと別れ、新たな出会いを模索中
長年、世界のダイヤモンド市場を牽引してきたデビアス社。日本でも1960年代以降の高度成長期、「ダイヤモンドは永遠の輝き」「婚約指輪は給料の3か月分」などのキャッチコピーが一世を風靡。プロポーズされる際、パートナーからダイヤモンドリングをはめてもらうシーンに多くの女性が憧れました。
デビアスの株の85%は、主に鉱業資源を取り扱うアングロ・アメリカンという投資グループ企業が所有しています。ところが、アングロ・アメリカンがデビアスの株を売却するというニュースが発表され、宝石業界では話題となっています。
アングロ・アメリカンとデビアスの関係は、100年近く前にさかのぼります。
当ブログNo.296でも取り上げたアーネスト・オッペンハイマーが、 1917年南アフリカの金塊を採掘・販売するためにJPモルガンと創業したアングロ・アメリカンは、1926年デビアスの株50%を取得。2011年以降は85%を所有し、今日に至っています。
そんな中、オーストラリアの企業で、世界最大の鉱業会社BHPグループからアングロ・アメリカンに対し買収の話が持ち上がりました。アングロ・アメリカンはその提案を断り、より安定した成長が見込める銅や鉄鉱石事業に経営資源を集中させ、ダイヤモンド、プラチナ、石炭といった現時点で採算が合わない商品の保有株を売却することにしたのです。
ダイヤモンド業界に影響するデビアスの行方
ダイヤモンド業界アナリストのポール・ジムニスキー氏によると、その大きな要因の一つとして最近のダイヤモンド市場の下落が挙げられるということです。「2020年の新型コロナウイルスの時期には、旅行や外食ができなくなった富裕層がダイヤモンドを購入し、他の高級品よりも好調な売れ行きをみせていました。しかし、コロナ収束後は他の商品ほど回復していません。また合成ダイヤモンドの台頭も原因の一つ。10年前には世界のダイヤモンド宝飾品市場で1%にも満たなかった合成ダイヤモンドのシェアは、現在20%以上になっています。なんといっても、価格が天然ダイヤモンドの10分の1以下という点が消費者を引き付けています」と語っています。
アメリカに次ぐ世界第2位のダイヤモンド消費国、中国での需要の落ち込みも深刻な問題。コロナ収束後も中国の景気は減速、2024年の投資額はもちろん、個人消費も低調に推移するという見方が強いようです。
長年のコンビを解消することになった今回のニュースに不安や懸念の声が聞こえる中、デビアスのCEOアル・クック氏は「アングロ・アメリカンとたもとを分かつことにより、これまでにない方法で戦略を展開、達成できる可能性があります」と前向きなコメントをしています
果たしてこの売却は吉と出るのか、そして買い手はだれになるのか……。リシュモン、LVMHなどの大手高級ブランドグループ? それとも2012年デビアスの株を手放したオッペンハイマー一族が出てくるのか? デビアスの婚約指輪の洗礼を受けた世代には、気になるニュースです。
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ゴールドに天然真珠を配したブローチ。19世紀制作のアンティークです。真珠の養殖技術が成功する以前のものなので、天然真珠です。そのため小粒です。ゴールドは厚みがあります。中心のラッキーモチーフの馬蹄です。
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