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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

NO.397 インド政府によって中止された宝石のオークション

ブッダの骨片と共に見つかった宝石の行方は。イギリス人からインド富豪が買い取って決着しました。

黒の台座の上にちりばめられたアメシスト、サンゴ、ガーネット、真珠、水晶、貝殻、金などの色とりどりの宝石。その数334個。1898年、インド北部ブッダ生誕の地に近いピプラワの仏塔からイギリス人の地所管理者ウィリアム・クラクストン・ペッペによって発掘された宝石の一部です。それは紀元前3世紀に遡る古代のもので、ピプラワ宝石と呼ばれています。

2025年5月7日、香港で行われたサザビーズのオークションにペッペ氏の曾孫から出品され、約1億香港ドル(約18億円)で落札されるのではないかといわれていました。しかし、インド文化省がインド法および国際法、そして文化遺産の保存に関する国連条約に違反するものだと述べ、オークションの中止を要請。さらに同省はこれらの宝石を保管と宗教的目的のためにインドに返還するよう求めていました。

ニューデリー政府もまた、サザビーズが売却をほう助したことで「植民地主義的搾取の継続に加担している」と非難。ペッペ氏が宝石の保管を希望しないのであれば、宝石はインドに返還されなければならないと述べました。

サザビーズはその後、オークションは「出品者(発掘を行った英国植民地地主の子孫3人)」の同意を得てオークションを延期。7月30日にはムンバイを拠点とする老舗財閥系コングロマリットのゴドレジ・グループが、同社からこれらの宝石を買い取ったと発表しました。ただ、ゴドレジ氏がこの宝石にいくら支払ったのかは不明です。サザビーズによると「個人売買の保護法により売却価格は公表できません」とのこと。

ゴドレジ・グループのピロシャ・ゴドレジ副会長は、政府のプレス声明で、「この歴史的な瞬間に貢献できたことを大変光栄に思います。ピプラワ宝石は単なる工芸品ではなく、平和、慈悲、そして人類共通の遺産の永遠の象徴なのです」と語っています。

インドのモディ首相は7月30日付のXで「我々の文化遺産にとって喜ばしい日! 聖なる宝石が、127年ぶりに故郷に戻ってくるのです」と述べています。

ピプラワの宝石は、紀元前240年から220年頃に埋められたもので、約1,800個の真珠、ルビー、サファイア、金箔が含まれていました。これらは、碑文が刻まれた壺によって紀元前480年頃に亡くなったブッダ自身のものと特定された骨片とともに埋葬されていました。

発見者のペッペは最終的に、宝石、聖遺物、聖骨箱のほとんどを植民地だったインド政府に引き渡しました。骨の聖遺物は仏教国シャム王(ラーマ5世)に渡され、5つの聖骨壺、石箱、その他の聖遺物の大部分は、コルカタのインド博物館(旧カルカッタ帝国博物館)に送られました。そして残ったまばゆいばかりの宝石のほとんどが、1世紀以上にわたってペッペ家の個人コレクションとして保管されていました。

127年の時を経て、インドに戻ってきたこれらの遺物は今後インドで常設展示される予定です。聖遺物がオークションに出品されるという事態に、売主に遺骨を競売にかける権限があることに異議を唱える批判派がいる一方で、透明性のある売却こそが管理権の移転における最も公正な方法だと主張する擁護派もいて、一時は歴史学や仏教学の研究者、僧侶なども巻き込んだ大論争となりました。ただゴドレジという救世主が現れることで、2か月で終止符を打つことができました。

元植民地だった国がそこで産出された宝石の所有権を主張しているという問題は、ほかにも挙げられます。たとえば、インドのコ・イ・ヌール、南アフリカのカリナンダイヤモンドについては、イギリス連邦との間でまだ決着がついていません。

下記ブログ記事で、その内容を詳しく取り上げています。

画像出典:https://www.nbcnews.com/


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