Written by MACHIDA Akemi

丸くて白い日本人が一番好きなアコヤ真珠の産地は、愛媛県や三重県など。琵琶湖で採れる淡水真珠も最近人気。

---

真珠を購入する際、真珠の大きさや色は重視しても、産地まで気にする人はあまりいないようです。真珠の産地を知れば、愛着が湧いてもっとパールが好きになるかもしれません。

真珠には天然真珠と養殖真珠がありますが、世界で流通している真珠の9割が養殖真珠です。天然真珠と養殖真珠の違いは、自然の偶然で真珠ができたか、真珠形成のために人の手できっかけを作ったかだけの違いで、どちらも美しいことに変わりはありません。

日本人に最も人気が高いのはアコヤ真珠です。入学式、卒業式、結婚披露宴、お葬式などで真珠を身につけますが、これほど真珠が行事に欠かせないものとして浸透している国は世界でも珍しいのではないでしょうか。

今から約130年前、日本人が世界で初めてアコヤガイによる真珠の養殖に成功しました。現在、アコヤ真珠の養殖は主に、愛媛県の宇和島、三重県の伊勢志摩、長崎県の大村湾、熊本県の天草などで行われています。日本のアコヤ真珠は、世界でも高く評価されJapanese Akoya Pearlと呼ばれています。

日本以外でもアコヤ真珠は養殖されていますが、なぜ日本産が高く評価されるのでしょうか。それは真珠層の透明感が高く、それに応じて光沢も強いから。美しいものが圧倒的に多い理由として、養殖職人の日々の努力はもちろんですが、日本の四季が関係していることも大きいでしょう。

真珠が育まれる条件としては、穏やかで海で、1年の平均水温が13℃以上、冬場には温かい海に移動できること。また水の流れがよく、プランクトンが豊富であること。これらの諸条件が揃う日本の海では、海外では出せないような色やテリが生み出されます。

約4年という長い年月がかかる真珠の養殖ですが、採取量の6割しか商品にならない時もあったり、年によって出来具合いにも違いが出ます。2019年には三重県の英虞湾でアコヤガイが大量死するという事態が起きました。水温の高さが指摘されましたが原因ははっきりしていないそうです。今後、真珠の採取量が減り、価格が高騰するのではという声もあります。

クロチョウガイを母貝とする黒蝶真珠は、主にタヒチを中心としたフレンチ領ポリネシアの海域で採れ、日本でも沖縄・石垣島で採れます。ブラックの色の中にグリーン、レッド、イエローなど多様な色が虹色に浮かび上がり、特に孔雀の羽根の色に例えられるピーコックカラーと呼ばれるものが人気です。黒蝶真珠の養殖は1914年、沖縄・石垣島で始まったのが最初ですが、その後日本の養殖業者がタヒチに行って技術を広めました。

大きいものでは20ｍｍくらいまで成長するのが白蝶真珠。身につけるとインパクトがあるので、年を重ねた女性に似合います。生産国はオーストラリアやインドネシア、フィリピン、鹿児島や沖縄など。母貝の違いにより、オーストラリア産のものは白色系、インドネシア産のものは、金色や黄色系が多くなります。

最近人気が高まっているのは、白の他にピンクやオレンジ、ゴールドなどの色味が美しい淡水真珠です。琵琶湖で養殖されている淡水真珠は海外でもBiwa Pearlで通じ、真円以外に楕円形のものや細長いものなど形もいろいろあります。昭和40年代にヨーロッパに輸出されていましたが、日本ではあまり知られていませんでした。その後、水質の汚染や中国産の真珠に押され姿を消しつつありましたが、最近の新たな環境の取り組みにより、生産量が増えています。少量ながら、茨城県の霞ケ浦でも淡水真珠が養殖されています。

四方を海に囲まれた島国、日本の宝石と言えば真珠です。最近はカジュアルに真珠を合わせている人も増えましたが、その一方で真珠はフォーマルな場所でしかつけない人も多いようです。いい真珠を持っていても、宝石箱に長い間しまっていてはもったいないです。Tシャツやカジュアルなパンツスタイルにどんどん取り入れてみませんか。パールに赤や青の色の天然石を重ねづけしてもおしゃれです。

黒蝶真珠には喪のイメージがあるという人もいますが、じつは華やかな席にも映え、ビジネスシーンではキリッとした大人のカッコよさを引き出してくれます。二つとして同じ形は存在しないバロックパールは、コレクションしたくなる真珠。歪んだ個性ある形はコーディネートを選ばないので出番も多いでしょう。パールとはこうあるべきという思い込みを捨てて、おしゃれを楽しみませんか。

＊トップ画像：ブランドジュエリー 特別編集パール

メンバーの方には一足先にお得情報をお知らせします。会員登録はこちから
https://brandjewelry.shop/magazine/usces-member/?usces_page=newmember

---