70代から絵を描き始めたグランマ・モーゼスの展覧会、名古屋、東京などで開催
Written by MACHIDA Akemi
大恐慌や第二次世界大戦で疲弊したアメリカ人の心を捉えた幸せな風景。不安や疲れを感じる今だからこそ、グランマ・モーゼスの絵を観て元気を出したい。
温かみのあるタッチで素朴な田舎の風景を描いたグランマ・モーゼスの絵には、なぜか惹かれるものがあります。モーゼスおばあさんという意味の、グランマ・モーゼスの愛称で親しまれ、アメリカ人なら誰もが知る国民的画家のアンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスの展覧会が日本各地を巡回中です。
「グランマ・モーゼス展ー素敵な100年人生」は、大阪(終了)、名古屋(2021年7月10日~9月5日 名古屋市美術館)、静岡(2021年9月14日~11月7日 静岡市美術館)、東京(2021年11月20日~2022年2月27日 世田谷美術館)、広島(2022年春予定 東広島市立美術館)の順に開催されます。
人生の大半を農家の主婦として切り盛りしてきたグランマ・モーゼスは、独学で70代から絵を描き始めます。ある日、自然や農村の暮らしを描いた作品が、偶然、村を訪れたコレクターの目に留まり、80歳の時、ニューヨークで初めての個展を開くまでになります。101歳で亡くなるまでモーゼスが描いた作品は1,600点以上。その温かみのある作風は、当時、大恐慌や第二次世界大戦で疲弊したアメリカ人の心を捉え、一躍人気となります。
生誕160年を機に特別に企画された展覧会で、国内で開催される回顧展としては16年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大で不安な毎日を過ごす今だからこそ、モーゼスの絵を観て元気を出したいところです。最初期の作品から100歳で描いた絶筆など、日本初来日を含む約130点を展示します。展覧会は4つのテーマで構成され、得意だった刺繍絵や、山や川の風景、人々が集う結婚式、ハロウィンやクリスマスを描いた作品などが並びます。
また作品だけでなく、モーゼスの愛用品も展示。特にモーゼスが絵の制作時に実際に使っていたテーブルは、これまでアメリカ国外に出品されたことがないという貴重な品です。両脇の支えの板には、モーゼスにより美しい風景画が施されているので必見です。
人生100年時代と言われる今、どう生きるかが問われています。グランマ・モーゼスは「人生は自分で作りあげるもの。これまでも、これからも。」という言葉を残し、101年の人生を全うしました。70代から本格的に絵を描き始め80歳で個展を開いたモーゼスの生き方は、何かを始めるのに遅すぎることはない、年齢は関係ないということを教えてくれます。
生誕160年記念「グランマ・モーゼス展ー素敵な100年人生」
大阪会場 2021年4月17日(土)~6月27日(日) あべのハルカス美術館 会期終了
名古屋会場 2021年7月10日(土)~9月5日(日) 名古屋市美術館
静岡会場 2021年9月14日(火)~11月7日(日) 静岡市美術館
東京会場 2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日) 世田谷美術館
広島会場 2022年春予定 東広島市立美術館
*詳しくは「グランマ・モーゼス展」公式ホームページにてご確認ください。
https://www.grandma-moses.jp
TOP画像:アンナ・メアリー・ロバートソン・“グランマ”・モーゼス《窓ごしに見たフージック谷》/ 1946年 / 個人蔵(ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク寄託)© 2021, Grandma Moses Properties Co., NY