Written by Brand Jewelry

1995年からスタートし、毎年5月の第1月曜日にニューヨークのメトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュートが開催するファッションの祭典、メットガラ。

世界中のセレブやファッションアイコン、文化人らが一堂に会するこのガラで、ひときわ目を引いたのがガーナ系イギリスの女優、映画製作者、歌手、作曲家のミカエラ・コエル。

彼女は、2020年ドラマ「アイ・メイ・デストロイ・ユー(I May Destroy You)」（日本では2023年5月5日からU-NEXTで配信スタート）で、2021年黒人女性として初のエミー賞を受賞。2022年11月公開された映画「ブラックパンサー」シリーズの続編「ブラックパンサー　ワカンダ・フォーエバー」にも出演するなど、今最も輝いている女優の1人です。

メットガラでは、130,000個のクリスタルにパールを含む26,000ピースのストーンを縫い付けたゴージャスなスキャパレリのタイトなドレスに身を包み、編み込みヘアに手作りのサンゴ風のヘッドピース、大ぶりなゴールドイヤリングと2つのカクテルリングを着用して登場。ジュエリー制作の際、ミカエラが選んだデザイナーは彼女と同じアフリカのガーナ系イギリス人、エメファ・コール。

今回はめていた2本のゴールドリングのうち1本は「カルデラ」といい、2023年初めミカエラがBMWとのコラボレーションでの撮影の際にも身に着けていたもの。これもエメファ・コールのデザインです。コールはサステナブルなゴールドを使ってジュエリーを作ることで知られるジュエリーデザイナーで、作品がヴィクトリア＆アルバート博物館に所蔵されています。

メットガラで「滴る水のようにゴールドをまといたい」と考えていたミカエラはガーナの隣国、コートジボワールから採取されたSingle Mine Origin（単一鉱山由来、通称SMO）の「社会的責任あるゴールド」を選びました。

SMOとは、純金を単一の原産地からジュエリーの完成品に至るまでの追跡を行う組織。1760年バーミンガムでゴールドの精錬所を起こし、現在では金属の製造と宝石商への販売なども行う大手グループ企業に成長したベッツ一族が主導しています。

2005年、金探査事業ハミングバード ・リソースを設立したベッツは、追跡可能なゴールドが世界に出回るゴールドの1%に満たないことを知ります。ジュエリー業界における、責任ある調達への消費者の関心が高まりつつあることを感じていた同社は、2018年ハミングバード・リソースとベッツグループのジョイントベンチャーによるSMOを設立しました。そして、2020年、SMOのホールマークが英国のアセイ・オフィス（貴金属分析所）で承認され、SMOゴールドの商品には、その刻印が打たれることになりました。

メットガラのミカエラ・コエルのジュエリーにもSMOの刻印が見られます。この刻印、今後のゴールドジュエリー購入の際の1つの目安になりそうです。

SMOのゴールドにはQRコードも付いていて、それを見ると、たとえば「鉱山からミカエラがメットガラで身につけるまでのゴールドのルートをたどることができる！」というもの。

SMOは、金鉱山の労働者への支援にも積極的に取り組んでいます。鉱山での仕事は重労働、低賃金、劣悪な環境、多くの子供たちが労働に駆り出されている地域もあります。ベッツグループが買い取ったアフリカ、マリのヤンフォリアの金鉱山では、こうした点を改善しようと努めていて、近年、給水塔、学校、市場用の菜園、診療所などインフラを整備、鉱山労働者の生活水準の向上にも役立っています。

世界の主要金鉱山会社によって構成される非営利団体、ワールドゴールドカウンシルの協力もあり、徐々に認知されつつあるSMOゴールド。メットガラでのジュエリーお披露目により、さらにゴールドにおけるSDGsへの関心が高まっていくのではないでしょうか。

画像出典元　：　nationaljeweler.com　Top＆Text：ジュエリー（Photo courtesy of Emefa Cole）　

Michaela Coel Web　Top：ミカエラ・コール

singlemineorigin.com

メンバーの方には一足先にお得情報をお知らせします。会員登録はこちから
https://brandjewelry.shop/magazine/usces-member/?usces_page=newmember

---