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高まる、ファンシーカラーへの好奇心


美しい色のダイヤに注目が集まっている。
大粒でカラーの美しいものは、無色透明のダイヤよりもさらに希少性が高く神秘的。

バリエーション豊かなカラーにダイヤの魅力を再発見

ダイヤモンドがジュエリーとして楽しまれるようになって数百年経つが、この20〜30年ファンシーカラーダイヤモンドが急に注目を浴びるようになってきた。もちろん昔からファンシーカラーは存在していた。「ホープダイヤモンド」はブルーダイヤモンド、「ティファニー・ダイヤモンド」はイエローダイヤモンドだ。世界的に有名なダイヤの多くが、ファンシーカラーダイヤモンドである。その鮮やかな色は一見ダイヤに思えないほど濃く美しい。しかし、それらの特別なダイヤを除けば、昔からダイヤとは基本的に無色透明なものと考えられてきた。ところがこの数十年、さまざまな色を持つダイヤモンドの人気が徐々に高くなっている。
 ファンシーカラーダイヤモンドとは、無色以外の天然ダイヤの総称。色は、ピンク、オレンジ、イエロー、バイオレット、レッド、ブルー、グリーン、ブラウンなどがある。なぜこのような色をしているのかは、現在の科学をもってしても完全には明らかになっていない。分かっているのはダイヤモンドの生成時に不純物が混ざり、それによって色がついて見えるということだ。窒素原子が取り込まれ炭素原子が欠けるとピンクや赤に、ホウ素原子が取り込まれることでブルーになる。また母岩に含まれる放射線の影響で作られることもあるようだ。ファンシーカラーダイヤは、非常に希な自然界の現象から生まれた偶然の産物と言える。
 通常のダイヤは4Cが基準であるが、ファンシーカラーダイヤの場合、一番大切なのは色である。色の美しさが命。鮮やかで色の濃いものほど価値がある。小さくとも色がよければ、まわりに透明なダイヤをセットとすることで豪華に演出するもできる。次にテリ。どの宝石にもいえることだが、宝石の持つ独特の輝きや光沢の良し悪しはダイヤにとっても重要である。またファンシーカラーダイヤの人気にともないトリートメントをほどこしたダイヤも増えている。放射線や高温高圧処理をおこない人為的に色をつけている。天然のものに比べて手ごろな価格が魅力だ。特にレッドなどの希少な色は普通では手に入れることが難しいため、ファッション感覚で楽しめるというメリットは大きい。もちろん天然のダイヤにしかない神秘的なカラーと同じというわけにはいかないが、選択肢のひとつとして考えるべきだろう。

Pink 世界的に人気のピンクはアーガイル鉱山で採掘

ファンシーカラーダイヤの中でも特に人気の高いピンク。中でもオーストラリアのキンバリー地区にあるアーガイル鉱山は、ピンクダイヤモンドの採掘で有名。現在ピンクダイヤのほとんどがこの鉱山から産出されている。アフリカでもピンクダイヤは多少産出されるが淡いピンク色が多い。それに比べてアーガイル産のものは濃い色が多いと言われる。またピンクダイヤは世界的に人気があるが全体的な産出量が大変少ないため、高額で取引されることが多い。同じサイズやカットの透明なダイヤと比べても高値が付けられている。今後さらに産出量が減少すると予測されおり、さらに価格が上がることも考えられる。世界最大のピンクダイヤは「ダリャ・イ・ヌール」で、182ct。アフリカ産の「シュタインメッツ・ピンク」は、ファンシーヴィヴィッドピンクでは世界最大。

左リング/ウエダジュエラー 右リング/エースマーク

Yellow & Orange もっともポピュラー。ファンシーの代表格

ファンシーカラーダイヤの中で比較的手に入りやすいが、イエローといっても淡い色から鮮やかな濃い色までさまざま。特に価値があるのは、イエローが濃く鮮やかなもの。金色に近い最高級の黄色はカナリーイエローと呼ばれ、「ティファニー・ダイヤモンド」が世界的に有名。130ct近くあり、名前にあるようにティファニー社が所有している。

左リング/シュワルツ 右リング/エースマーク

Blue ホープダイヤが有名。海外での評価が高い

ファンシーカラーの中でもレッドダイヤと同じく非常に希少で、市場に出回る数も極端に少ない。0.1カラット以下でもマーケットがあるといわれるほど。世界的には「ホープダイヤモンド」が特に有名で、その美しいカラーはブルーダイヤの王様。ルイ14世やマリー・アントワネットが所有していた。現在は国立自然史博物館スミソニアン研究所で見ることができる。

左右リング/ジュエリーツツミ

Brown ファンシーカラーの中でもレッドダイヤと同じく非常に希少

イエローダイヤと同じく産出量が多い。色の薄いものや濃すぎるものは評価が低いが、豊潤なブランデーのようなカラーをしたブラウンダイヤは、コニャックダイヤと呼ばれ高い価値がある。最近ではファッション的にも広く支持されている。南アフリカで発見された「グレートクリサンセマムダイヤモンド」が有名。菊の花に似ていることから、この名が付けられた。

リング/カシケイ ブラウンダイヤモンド

Green ブルーダイヤと並んで非常にレアなカラー

グリーンダイヤもブルーのように市場に出回ることが珍しい。ナチュラルのグリーンダイヤは数が少ないため、トリートメントも多い。色の起源の判別が難しいカラーでもある。ドレスデンにあるグリーン・ヴォルツ収蔵の「ドレスデン・グリーン・ダイヤモンド」は、300年以上前にインドで発見された。

リング/ミキモト

TOP画像:シュワルツ

Deluxe DIAMOND 2011 (徳間書店)より抜粋 *当サイトの情報を転載、複製、改変等は禁止します

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