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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

NO.305 小説『宝石商リチャード氏の謎鑑定』。宝石を題材にした心温まるエピソード

宝石の本は、鉱物書だけではありません。人生についても考えさせられる本を紹介します。

今回のブログは宝石にまつわる読み物。宝石にまつわる小説は、時代背景、主人公の状況などによって描き方が違うし、ストーリー展開も興味深いものあり、宝石に興味があってもなくても楽しめるという共通点があると思っています(私見)。

マイブームは、小説『宝石商リチャード氏の謎鑑定』。2015年からスタートした辻村七子さんの書下ろし小説で、すでに13巻まで刊行。同じストーリーの漫画もあり、2020年には深夜テレビでアニメも放送していたとは知らなかった~。最新刊の第14巻は、2025年2月発売か?といわれている注目のライトノベルのひとつです。

年齢的には萌え絵のカバーがちょっと恥ずかしかったけれど、1巻目を読み始めたら、これが面白くてあっという間に読了。ざっくりいえば、マルチリンガルでビジュアル系の若いイギリス人の宝石店の店主リチャードと、ひょんなことから彼の宝石店でアルバイトをすることになった大学生、中田正義(せいぎ)の物語です。

「謎鑑定」というから、推理小説のようなものを想像していたら、全く違い、人の営みや人生がリチャードのもとに訪れるお客さんのエピソードを通して描かれています。

正義は宝石のことには全く疎く、各エピソードで一緒に宝石について学べるところも魅力。それぞれの石の産地、歴史、特徴、ダイヤモンドの4Cなどがさりげなく書かれ、ジュエリー好きにはもちろん、知らない人も宝石に興味を持つような内容になっています。

中でも「宝石の単位がなぜグラムではなく、カラットなのか?」という疑問について、リチャード自身の考えを話す場面があるのですが、その内容にも好感が持てます。(内容については、本を読んでみてくださいね)。

1巻は、ピンクサファイア、ルビー、アメシスト、ダイヤモンド、ローズクォーツの石ごとにエピソードが分かれ、どれもすとんと腑に落ちる心温まる結末になっています。

それぞれのテーマを一言でいうとすれば、ピンクサファイアは「贖い」、ルビーは「LGBTQ」、アメシストは「自分らしさ」、ダイヤモンドは「再生」、ローズクォーツは「愛」といったところでしょうか。LGBTQがテーマになっているエピソードがあるのも、現代ならでは。世間では社会的弱者に対してまだまだ厳しい世の中であることが、当事者の口から語られます。

正義とリチャードの距離感は一歩間違えれば、流行りのBL(ボーイズラブ)になりがちな展開なのですが、それとは微妙に違う点がコミカルに描かれていて、思わずくすっと笑ってしまう場面もあります。

2巻目はエメラルド、3巻目はアクアマリン、とおなじみの宝石の名前がタイトルとなっているのですが、果たしてどんな内容なのか、興味津々。次が早く読みたくてたまりません。

当ブログでは、宝石にまつわる小説や漫画を取り上げてきました。ぜひ読んでくださいね。No.124 『小公女』、No.127 『宝石商のメイド』、No.143 『七つ屋 志のぶの宝石匣』、No.297 『金色夜叉』。


画像出典: Amazon

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オーロラのような幻想的な色合いのフローライト。トルマリンのようにブルー、グリーン、パープルなどさまざまな色がありますが、南アフリカ産はメロンソーダのようなグリーンが特徴。紫外線ライトを当てると蛍光するものもあります。
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