作品は、ピカソ、ダリ、ブラック、コクトーといった20世紀を代表するアーティストや、1980年代以降の作家、ジェフ・クーンズ、ロイ・リキテンスタインなど、コンテンポラリーアートまで多岐にわたっています。

2025年4月12日からアメリカ・フロリダ州パームビーチのノートン美術館で、「アーティストのジュエリー：キュビズムからポップアートまで」と題された展覧会が開催されています。

展示されている作品は、ピカソ、ダリ、ブラック、コクトーといった20世紀を代表するアーティストや、1980年代以降、陶器製のバルーンドッグが話題となったアーティスト、ジェフ・クーンズ、アンディ・ウォホールらと並ぶポップアートの代表的な画家、ロイ・リキテンスタインなどのコンテンポラリーアートまで多岐にわたっています。

ジュエリーはすべてパリのアートコレクター、ディアーヌ・ヴェネ氏が出品したもの。幼い頃から美術界に深く関わってきたディアーヌは、フランスのコンセプチュアルアーティストで現在の夫ベルナール・ヴェネと出会って間もない1980年代からアーティストのジュエリーのコレクションを始めました。

その後30年間で、ディアーヌは誰もが羨むアーティストジュエリーのコレクションを築き上げました。その数は220点を超えています。今回はその中からセレクトされた20世紀～21世紀を代表するアーティストたちの作品が、同じアーティストによるノートン美術館の永久所蔵の絵画、彫刻、ペーパーアート、写真など約60点の関連作品とともに展示されています。

ピカソが制作したコミカルな表情を浮かべるK23ゴールドの「大牧神」のペンダント（1973年）、ヘアコーム、時計、スプーンの形が融合しダリらしさが詰まったブローチ、コクトーのK18ゴールドにルビーやダイヤモンドが入った繊細な「マダム」という名のペンダントなどシュールな作品が勢ぞろい。

さらにオノ・ヨーコがデザインし、亡き夫ジョン・レノンに敬意を表して「Imagine Peace（平和を想像してごらん）」という文字を刻印したレコード盤風の分厚いゴールドリングや、ディアーヌが夫のために購入したマン・レイのゴールドの仮面「オプティック・トピック」（1974年）といった個人的に意味を持つジュエリーも含まれています。

ディアーヌがコレクションしているジュエリーは、一般の人が身に着けるジュエリーに比べるとかなり大ぶりなものですが、彼女曰く「私はアートを身につけるんです、ジュエリーではなく」と語ります。

作品は、素材が真鍮だろうと、高価なゴールドやプラチナであろうと一般的なジュエリーとは一線を画しています。その価値は高価な素材によって決まるのではなく、作品のコンセプトや制作者への評価といった文化的価値によって決められています。まさに「ウェラブルアート」そのものといえるでしょう。

宝石がちりばめられたもの、金属を叩き出したものはもちろん、アルミニウムのような異素材を使ったものなど職人技の多様性も示されていて、来場者を飽きさせません。

ノートン美術館のディレクター兼CEO、ギスラン・デュミエール氏は、「ディアーヌ・ヴェネ氏のコレクションはとても貴重なもの。彼女が収集したネックレス、リング、ブローチ、イヤリング、ヘッドピースなどは、現代の最も有名なアーティストたちによってユニークな素材で表現された、他には類を見ないディテールが特徴です。美術館を訪れる人々がこれらのミニチュア芸術作品を通して、好きなアーティストの作品への理解を深める絶好の機会といえます」と述べています。

モダンとコンテンポラリー、シュールレアリストとアバンギャルド、ミニマリストとキネティック、そして商業的なジュエリー、さまざまなジャンルがそろう今回のディアーヌ・ヴェネの展示会は、2025年10月5日まで開催されます。

画像出典 : https://www.norton.org/exhibitions/artists-jewelry

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