NO.265 着物から誕生した日本独自の宝飾装身具、帯留めの歴史とその魅力
Text=Brand Jewelry
日本の伝統的な衣装、着物。昭和初期ごろまでは、普段着として着られていました。現在では、お正月や七五三や成人式、結婚式などといった特別な日に着るものといったイメージですね。
着物と宝石は関係ないという誤解
いえいえ、着物から派生した日本独自の宝飾文化があります。その代表的なものと言えば、帯留め。女性が帯締めに通して使う、ちょっとしたアクセントになる愛らしい装身具。
K18ゴールドやシルバーなどの金具に宝石をあしらったものもあります。帯留めが誕生したのは、江戸時代後期。もともと帯は、江戸初期頃までは着物を結ぶ細い紐のようなものでした。
それが、江戸時代ごろから幅が広く丈も長くなり、結び方も複雑になっていきます。帯がほどけないように帯を紐で固定するようになり、当初は「胴〆」、その後「帯留め」と呼ぶようになりました。
現代では、金具のついた帯留めと金具のない帯締めと区別していますが、当時は帯を締めるものをすべて帯留めと呼んでいました。
金具の付いた帯留めが登場したのは、1813年ごろと言われています。明治時代には上部の金具と下部の金具を合わせて帯を留めるスタイルのものが現れました。
合わせたとき、パチンと音がするので、「パチン留め」と呼ばれています。当時このパチン留めは大流行。そこには、明治9年に廃刀令が施行され、刀装具を生業としていた彫金師たちが、新たな生活の活路として帯留めに注目したという背景が関係しています。当時の作品には、刀装具の影響の強いものが多く残っています。
金具の素材は、赤銅や銀が主流でしたが、富裕層に向けた金やプラチナ、宝石をあしらった贅沢なものも登場しています。
大正時代には、片側裏の突起部分にもう片方の金具を引っ掛けて留める「引っ掛け式」が主流となります。そして昭和に入り、現在のような帯締めの紐に通す「紐通し式」に変化したそう。最近では、帯締めの幅を選ばない便利な「クリップ式」も登場しています。
使っていない帯留めは、リメイクしてブローチに
かつては着物の帯を留めるという実用目的から生まれた帯留め。洋装が圧倒的に多い現代、宝石店ではブローチに帯留め用の紐通しの金具がついた2wayスタイルが主流になっています。
また宝石箱に眠っている帯留めをブローチに加工したり、あしらわれている宝石だけを取り出してリングやペンダントトップにリフォームして新しい命を吹き込むという方法もあります。
一方、最近ではお気に入りのブローチを帯留めとして使うための便利な金具が登場しています。着物を着る機会があれば、日本で独自の進化を遂げてきた「帯留め」にもぜひ注目したいものです。
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TOP画像出展:上から金魚象牙帯留/ブルー系オパール帯留/葉模様めのう帯留(すべて日本宝飾クラフト学院蔵)Brand Jewelry 2018WINTER-2019SPRING
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