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No.207 イギリスに返還の嘆願書を提出。王冠を飾る巨大なダイヤモンドをめぐる南アの世論

BJI ブログ No.207

2023年5月6日、チャールズ3世の戴冠式が行われ、その模様は世界各地で報道されました。その時話題となったことのひとつが、クラウン ジュエルズです。

戴冠式でカミラ妃の頭上を飾っていたのは、1911年ジョージ5世の戴冠式に彼の妻であるクイーンメアリーが身に着けていた王冠でしたが、その王冠にセッティングされたダイヤモンドはクイーンメアリーの時のコ・イ・ヌールではなく、カリナン III、IV、V のダイヤモンドでした。その理由については、当ブログNo.185で詳しく述べているのでここでは割愛しますが、今度はカリナンに関する問題が浮上しています。

ダイヤモンドがコ・イ・ヌールからカリナン III、IV、V に代わったのは「インド植民地時代の搾取を別の植民地搾取に切り替えただけ」という批判が高まり、南アフリカからカリナンの返還を求められ、現在、8,000人を超える署名が集まった新たな嘆願書がイギリス王室に提出されました。

カリナンは、南アフリカの*3つある首都の1つ、プレトリアの近郊で採掘された3,100カラットという巨大な1つのダイヤモンドで、ダイヤモンドは9つの大きな石と約100の小さな石にカットされました。

530カラットにカットされた最大のダイヤモンド、カリナン I は「アフリカの星」として知られ、戴冠式で国王チャールズ3世が持つ王笏にセットされ、カリナン II は王冠にセットされました。そして、カリナン III、IV、V はカミラ妃の王冠に、残りはロンドン塔に展示されています。

ヨハネスブルグを拠点とする弁護士で活動家のモトゥシ・カマンガ氏は、「ダイヤモンドは南アフリカ私達の誇りであり、伝統、文化の象徴で、返還されるべきです。アフリカの人々は、植民地から解放されるということは自由を得るだけでなく、略奪されたものを取り戻すことでもあるということに気づき始めています」とロイター通信に語っています。

インドのコ・イ・ヌールは、言い伝えによると、1526年に歴史に現れ、権力者の間を転々とし、19世紀に北インドのシク王国王にゆだねられます。当時イギリスは、王が5歳と幼かったことや国の弱体化していたことに乗じてシク王国に戦争を仕掛け、コ・イ・ヌールを手に入れたと言われています。そういう経緯が事実だとすれば、「イギリスがインドから略奪した」と言われても仕方がないかもしれません。

一方、カリナンは南アフリカがイギリスによる植民地占領下にあった1905年に発見されたもので、1907年イギリスと南アフリカの結束の証しとして、イギリス国王エドワード7世へ贈られました。そういう点から今回の返還に関しては、首をかしげる歴史学者もいます。

エコやサステナビリティについては、半世前から自ら積極的に実践してきたチャールズ3世。イギリス連邦王国の王として、旧植民地のこうした問題にはどのように対処していくのか気になるところです。

*3つの首都
南アフリカでは首都が、司法・立法・行政の3カ所に分かれ、プレトリアは行政を司っている。立法はケープタウン、司法はブルームフォンテーンが行っている。

トップ画像出典:en.wikipedia

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