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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.216 脇石の存在だったバゲットカットが主役に。シャープでシンプルな輝きが新しい

BJI ブログ No.216

ダイヤモンドのカットといえば、正面から見て丸く見えるラウンドカットをイメージする方が多いことでしょう。ただダイヤモンドのカットは丸だけではなく、長方形や、真四角、楕円、三角形など様々な形があり、ラウンドとはまた一味違う個性的なスタイルを演出してくれます。


今回、注目したのはバゲットカット。ステップカットと呼ばれる側面から見た場合、ファセット(カット面)が階段状に見えるカットが施されていている長方形や細長い台形の形をしたものです。長方形のものといえばエメラルドカットがありますが、両者の違いは、「長方形の4つの角を落とすか、落とさないか」。エメラルドカットは角の部分を落としていますが、バゲットカットは角はそのまま残していて、よりシャープな印象になります。ダイヤモンド原石をバゲットカットにしようとすると角が欠けてしまう恐れがあるので、大粒の石はエメラルドカットに研磨されることが多いようです。


エメラルドカットのダイヤモンドがメインの石として使われることが多い中で、バゲットカットはセンターの石を引き立てるサイドストーンとして使われるイメージ。ダイヤモンドを始めルビー、サファイア、エメラルドといった大粒の宝石の周りに、小粒の長方形や台形の形をしたダイヤモンドが散りばめられている指輪を宝石店で見かけたことがあることでしょう。その小粒のダイヤモンドが、バゲットカット。台形は、特にテーパードバケットカットと呼ばれています。


バゲットカットがメインとなるものとしては、エタニティリングが挙げられます。キラキラと華やかさのあるラウンドカットのほうがポピュラーですが、バゲットカットは、透明感のある落ち着いた輝きが演出できるのが魅力。ラウンドカットではあまり目立たない内包物もバケットカットだと目につきやすいことから、高品質のものが要求されます。


バゲットカットの名前の由来は、フランス語の細長い棒パン、バゲット(baguette)から来ているというのが通説。しかしアメリカ宝石学会(GIA)によると、17世紀の辞書の編集者ランドル・コットグレイブの『French and English Dictionary(仏英辞書)』(1673年発行)には、「小さい宝石」とあるとか。当時は「宝石」という意味を持ち、現在は「指輪」という意味のフランス語「bague」から来ているという説もあります。

バゲットカットの元祖ではないかと言われているのが、16世紀半ばから登場しているホグバックカットと呼ばれる細長いテーブルカット。当時のポルトガルのキリスト教のダイヤモンドクロスに、そのダイヤモンドが使われているものがあります。

その後ダイヤモンドのカットは、テーブルカットからより輝きを求めてカットの面数が多いローズカットへと移っていきます。テーブルカットが再び表舞台に登場するのが1912年。カルティエがテーブルカットであるバゲットのカットスタイルを紹介、アールデコのジュエリースタイルを創り出しました。

そして今、イスラエルを拠点に活動しているアルテメル(Artemer)というブランドが、イエローゴールド枠にバゲットカットをメインにした今までにない斬新なジュエリーを制作、話題を集めています。

日本では、まだまだオーソドックスなラウンドカットが主流で、ジュエリーの選択肢が限られているような気がします。バゲットカットを始め、他のカットを使った遊び心あふれるジュエリーがもっと増えたらいいなと思います。

画像出展元:artemerstudio.com

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