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ブランドジュエリーオリジナルの特集記事です。

「メンズ リング エキシビジョン」1月14日〜開催。主催:「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」(ヴァン クリーフ&アーペル)

Written by Ikuko Watanabe

メンズだけに絞り込んだリングの展覧会が開催されます。とりわけ日本ではジュエリーは”女性のもの”というイメージがありますが、約300点のリングを観た後は、それが間違った認識であることに気づくかもしれません。


「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」が主催する「メンズ リング エキシビジョン イヴ・ガストゥ コレクション」が2022年1月14日(金)〜3月13日(日)、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で開催されます。事前に入手したパンフレットを開いていくうちに、「見逃してはいけない」といういう気持ちが高まってきました。

パンフレットの序文から引用します。主催者のジュエリーに対する誤解を解きたいという意思が伝わってくる文章で、共感しました。

「装身具はもっぱら女性のためのものだと聞かされたら、古代から18世紀までの時代を生きた男性たちの多くは驚いたことでしょう。実はこれは近代社会の考え方で、フランス革命の時代に主流となったものです。・・・・・・男性たちは、太古から指輪を身につけていました。皇帝や王族が印章として用いた指輪から、ローマ教皇や枢機卿の指輪まで、いずれも持ち主の権力や象徴性、そして精神性を示す目的をもっていました。・・・・・・」

また、ヴァン クリーフ&アーペルが2012年が創設した「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」の10周年を記念したパンフレットの導入では「レコールはさまざまな支流を含むあらゆる道筋を探索することで、『ジュエリー は軽薄なもの』『ジュエリー は女性だけのもの』『ジュエリーは高価に決まっている』といったありがちな先入観を躊躇なく覆しているのです」とあります。

ジェンダレス、エイジレスが当たり前のファッションに対して、固定観念に縛られやすいジュエリーですが、この展覧会はそうした偏った認識を取り除く一つのきっかけになるかもしれません。

今回展示されるのは、1980年代半ばにパリでアンティークギャラリーを開設したイヴ・ガストゥ氏のメンズリングのコレクションです。アンティーク家具の世界では一目置かれる人物ですが、家具を探す傍ら30年以上、メンズリングの収集を続け、2018年パリの「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」で初めて展覧会を開きました。それまではジュエリーの分野ではガストゥ氏の名は知られていませんでした。

展覧会は、フランス王朝文化を築いたルイ14世、ルイ15世、ルイ17世までの様式を再解釈し昇華させた1930年代から50年代にかけて活躍した装飾家や建築家の作品、ヨーロッパで繰り返し流行するゴシック様式からインスパイアされたもの、教会の神秘を象徴する聖職者の指輪、「メメント・モリ(死を忘れることなかれ)」を表した頭蓋骨のリング、芸術家による身につけられるオブジェなど、コレクションは多岐にわたります。パンフレットの写真からもリングのユニークな発想、複雑なつくりが見て取れます。現物は想像以上に面白いでしょう。期待せずにはいられない展覧会です。

会期:2022年1月14日(金)〜3月13日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3 東京都港区9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内
開館時間:10:00〜19:00 無休 入場料無料
お問い合わせ:レコール事務局 0120-50-2895

1月27日(木)日本時間 20:00~ パリよりオンライントークがライブで配信されます。英語(日本語同時通訳付き)登録はこちらから:https://www.lecolevancleefarpels.com/jp/ja/mens-rings-online-conversation

「司教の指輪」
「英国の哀悼の指輪」

トップ画像:(中央)イヴ・ガストゥと彼の息子ヴ ィクト ー ル・ガストゥ ©ギャラリー・イヴ・ガストゥ、(左)「ヴェネツィア元首(ドージェ)の指輪」、(右)「死を昇華させる棺の指輪」


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