天然ダイヤモンド or 合成ダイヤモンド。どちらがSDGsに努力している?
Written by Brand Jewelry
消費者はアンテナを張って情報を集め、選択をしましょう。
ジュエリー業界にも広がりを見せつつあるSDGs(持続可能な開発目標)。
1月8日付のイギリス『ヴォーグ』のサイト記事では、「エシカル(倫理的)」であると今、脚光を浴びている合成ダイヤモンドに対し、天然ダイヤモンドにおけるSDGsの活動についても言及しています。
天然ダイヤモンドを採掘するにあたり、木を伐採したり、ダイナマイトを使用したりする自然破壊や、そこで働く現地の鉱夫の過酷な労働環境は以前から問題となってきたことは確かで、合成ダイヤモンドにシフトしていくのは理にかなっているように思えます。
しかし、貧困国の開発の支援や、資源に依存している地域社会がより持続的かつ効果的に機能するための援助を行っているNGO団体、Pact(パクト)で金や宝石の鉱山の市場についてディレクターを務めるCristina Villegas(クリスティナ ヴィルガス)は、「現地で働く鉱夫たちの生計に責任をもたなければならないのに、そこから遠く離れた欧米の実験室内での仕事を優先することは、SDGsとは反対の方向に向かっているのではないでしょうか」と疑問を投げかけます。公正な工賃を得られず、きちんとした業界とのつながりがないために搾取されている鉱山労働者たちの状況を改善していくこともまたSDGsではないのか、と。
デビアスでは、こうした問題の対応策として、これらの鉱山労働者が国際市場にアクセスして合法的に商品を販売し、現場の状況を改善するのを支援する責任があると考え、現在シエラレオネに150以上の鉱山サイトを登録、設備、トレーニング、継続的な指導を行っています。
デビアスグループの倫理担当のシニアバイスプレジデント、Feriel Zerouki(フェリエル ゼロウキ)氏は、「職人が採掘したダイヤモンドを調達する合法的な企業はありません。私たちは鉱山労働者のために市場へのルートを作り、最終的に彼らの石がやがて宝飾品となるのを見届けたいと思っています」と語ります。
その試みは、実を結び始めています。2020年、ティファニーがすべてのラフダイヤモンドのトレーサビリティ(透明性)を提供した最初のメジャーブランドとなりました。同社のサステナブル関連の責任者であるAnisa Kamadoli Costa(アニサ カマドリ コスタ)によると「ダイヤモンドは今ではどこでカット、研磨され、鑑定が行われ、セットされるかについての情報も共有することができます。私たちの事業は、地域社会、人権、環境にプラスの影響を与えると思います」ということです。
一方、当ブログNo.32で紹介した合成ダイヤモンドのパンドラですが、近い将来、100パーセント合成ダイヤモンドを採用すると発表していますが、合成ダイヤモンドの供給元がどれほど再生エネルギーを使っているかは謎に包まれています。そして「商業的競争上の理由」から、合成ダイヤモンド生産者の名前を明かすことはできないということです。
消費者である私たちは、単純に天然だからNG、合成だからOKというのではなく、その宝石がどこで生成されたものなのか、採掘されたものなのか? どんなエネルギーが使われたのか? 石を調達している会社は、責任を持って透明性の高い仕事をしているのか? そういった点も見極めた上で、ジュエリーにおけるSDGsを語っていくべきではないでしょうか。
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