LVMHも注目する、コンテンポラリージュエリーデザイナーのSDGs思想
Written by Brand Jewelry
1年を通して世界中で開催されているジュエリーの見本市にも実にいろいろなタイプがあります。売買だけの商業的なもの、アートや文化を広めるものと、全く雰囲気が異なります。
イタリア・ミラノでは2月と9月にHOMIファッション&ジュエルズ・コレクションが開催されています。2023年は2月17~20日の期間、21日からスタートするミラノ・ファッション・ウィークに先駆けて行われました。
HOMIファッション&ジュエルズ・コレクションは、元々ミラノで年2回開催されていた創業50年を超えるインテリア雑貨の見本市Macef(マチェフ)が、2014年にHOMI(Home Milan)と名称を変更し、2019年9月の展示会からファッション&ジュエル部門が「HOMI ファッション & ジュエルズ」として独自の名前でスタート、今日に至っています。
名前が示す通り、服、革製品とともにアクセサリー、コスチュームジュエリー、コンテンポラリージュエリーのメーカーやデザイナーが出展。
その中で今回目を引いたのが、ロンドンを拠点に活動するミラノ出身のコンテンポラリージュエリーデザイナー、マティルデ・モッツァネガ(Matilde Mozzanega)のクロモ ドープ・コレクション。「ブリスターパック」と言われる薬の錠剤や化粧品などのパッケージに使用する包装方法からヒントを得て、遊び心のあるカラフルで話題性のあるジュエリーを発表しました。
でこぼことしたパッケージの上に置かれた宝石(ルース)の中で、特別の日だったり、その時の気分によって自分に最も合っていると感じる色の石を選ぶというスタイル。
日々その日に合った石を着用することで、ストレスや不安といったメンタル部分におけるセルフケアにもなるというメッセージが込められていて、シンプルな輪っかのシルバーや、K9ゴールドのリング枠、イヤリングの枠の中に好きな石をセッティングしたり外したりできるようになっています。
石は、ピンククォーツ、パープルジェイド、ナイロントパーズ、リサイクルTPU(スマホケースに使用されるウレタン樹脂)を3Dプリンターで成型した石、バイオ・レジンの5点で構成されています。
よくある天然石が持つパワーとは違い、「自分に合った薬」を服用して気持ちが落ち着くように、色から直感的に選ぶ石を身に着けることによって、毎日の生活を楽しく送ってほしいというモッツァネガの思いがこめられています。
モッツァネガはロンドン、セントラル・セント・マーチンズのジュエリーデザイン科を2018年優秀な成績で卒業。さらにフィレンツェのアルキミア・ジュエリースクールで1年学び MFAの学位を取得。現在ロンドンを拠点とするジュエリーブランド、コンプリーティド・ワークス(Completed Works)のデザイナーでサステナビリティ・ コーディネーターとして活動しています。
モッツァネガは「持続可能」というものを非常に意識しており、異素材の性質を見極め、それらをどのように変化させ再利用するかということに深い関心を寄せています。
そのため彼女の作品は、貴重な素材とリサイクルされた素材を同等に並べ、リサイクル素材に第二の命を吹き込むことで、私たちの社会におけるその貴重さと価値についてメッセージを送ろうとしています。
こうした活動は、過去の彼女のコレクション、たとえば「段ボールの切り抜き」にも見られます。セントラル・セント・マーチンズとの共同作業による産業用段ボールチューブの驚くべき特性を探求したコレクションは、LVMH サステナブル・アワード 2018を受賞しています。
Top画像:www.matildemozzanega.com
桜のように愛らしいピンクダイヤモンドが浮び上がるリング。ピンクダイヤをセットしたセンター部分は直径が約4mmあり、ピンク色が手元に広がります。ショップはこちら。
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