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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.104 ニナ リッチは芸術性の高いオートクチュールの考え方がベース。だから身につけた時の高揚感が違う!

BJI ブログ No.104

スマートフォンの登場やSNSの利用により、トレンドやカルチャーなどの情報がスピーディにシェアされライフスタイルが大きく変わりました。インスタグラムから人気になったインフルエンサーがブランドを立ち上げ、ビジネスを展開していくケースもあります。とはいえ、創業者や後を継いだデザイナーが人並み以上の精神力と、長い年月をかけ積みあげてきた歴史や伝統、信頼は誰でも簡単に得られるものではないでしょう。

競争の激しいファッション業界で、パリを本拠地とし90年にも渡りトップクラスの地位を確立しているのがニナ リッチです。創業者のマダム ニナ・リッチは、フランスとの国境に近いイタリアのトリノ出身。幼い頃にフランスに移住し、10代でお針子としての才能を発揮、オートクチュールの世界に飛び込みます。

1932年、パリのカプシーヌ通りにアトリエを構えますが、その時、マダム ニナ・リッチは49歳。もう歳だからと守りに入らなかった彼女の行動力は勇気を与えてくれますね。

ニナ リッチがブランドを立ち上げる前の1920~1930年代は、第一次世界大戦が終わり、フランスでは女性の社会進出が始まる頃です。良妻賢母が求められていた時代から、窮屈なコルセットを脱ぎ捨て家の外で働く人が急増します。

女性の自立が叫ばれるようになった戦後に、働く女性のパイオニア的存在であったマダム ニナ・リッチ。徐々に事業を拡大し、最終的に400人以上のスタッフが雇われ、ニナ リッチはフランスを代表するファッションブランドに成長します。

オートクチュールは長いフランス文化から生まれた伝統で、顧客の注文を受けてから、デザイナーが顧客のための1着をデザインし、ベテランの針子が手作業で作る高級仕立服のことをいいます。

そもそもファッションは19世紀までは宮廷の貴族だけのものでした。当時は現代のような既製服はなく、洋服はオーダーするか自分で縫うかのどちらかのみ。富裕層は自分のサイズにぴったり合う高級服を注文することがステータスとなります。高度な芸術性が求められるオートクチュールは服以上の価値があり、クチュリエが独自性を競い合って発展させてきました。

マダム ニナ・リッチのデザインの方法はとっても斬新。デッサンは描かず、顧客の体に直接布地を当て顧客の個性を引き出しながら裁断していくという方法が評判になります。ジャケットにリボンをあしらったり、ワンピースにプリーツを多用したり、エレガントでフェミニンなスタイルが多くの女性を魅了していきました。のちに、アメリカ版ヴォーグ誌にもニナ リッチのドレスを着たモデルが登場し、海を越えたアメリカでも人気となります。

マダム ニナ・リッチは70歳代まで現役で活躍し、1954年に隠退しますが、デザインの指揮は彼女のアシスタントだったジュール フランソワ・クラエが引き継ぎ、その後、才気溢れるデザイナーたちによって継承されます。

最近までルシェミー・ボッターとリジー・ヘレブラーの2人がクリエイティブ・ディレクターに就いていましたが、3年半の任期を経て退任すると発表がありました。メゾンを率いる次のデザイナーは誰になるのか今後の動向が楽しみなところ。

上品な女性らしさの代名詞的な存在で、フランスが誇るファッションブランド、ニナ リッチ。90年と長きにわたりブランドが続いている理由は何でしょう。それはエレガントな女性らしさを軸としたブランドコンセプトが、創設以来一度も変わっていないことが理由の1つに挙げられます。どんな時も女性は美しく、気品に満ちていなければならないというマダム ニナ・リッチの精神が今もすべての製品に息づいています。

ニナ リッチの世界は、1941年にスタートしたフレグランス部門をはじめ、さまざまなアイテムで楽しむことができます。ジュエリーもその1つで、デザインはパリで年に2回発表されるコレクションからインスパイアされたものを、日本の優れた職人が高品質なジュエリーに仕上げています。細部にも手を抜かない、どこを見ても丁寧、そして本当に良いものを作るといったオートクチュール時代から大事にされてきた考え方がニナ リッチのジュエリー作りにはあります。

2022年春夏のジュエリーコレクションでは、春の明るい色のファッションに合わせたくなるようなネックレスやイヤリングなどが登場。パリのファッションのモードがベースにあるので、身につける時に感じるワクワクとした高揚感が違います。


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