BJI ブログ No.170

キラキラ輝くジュエリー、特にゴージャスなハイジュエリーは、女性なら誰でも目を奪われるはず。それがどのように誕生するのか、思いを馳せることもあることでしょう。

今回ご紹介するのは、ブルガリの長編ドキュメンタリー「インサイド・ザ・ドリーム」。

同社で40年という長いキャリアを持つジュエリークリエイティブ ディレクター、ルチア・シルヴェストリの足跡をたどりながら展開していきます。

彼女は男性優位と言われるジュエリー業界の中で、高みに上りつめた数少ない女性の1人。買い付けから始まり、ハイジュエリーの傑作が誕生するまでの全ての工程に携わっています。

ベネチア映画祭の直前、女優ゼンデイヤのメイクシーンから始まったファーストシーンに続き、場面は2年前のインドへ移ります。

ルチアが初の買い付けに行ったのは、ニコラ・ブルガリとの1987年のインド・ジャイプール。それ以来、かの地のとりことなった彼女は、「使用法を知らない場合は買うな」というニコラの最初の教えを忠実に守り、たくさんの宝石を目の前にしてもなかなか首を縦に振りません。彼女のお眼鏡にかなった宝石だけが、ブルガリのコレクションとして選ばれるのです。

そして、場所はローマの彼女のオフィスへ。壁には、ブルガリでの40年の間に彼女が思い描いた何百ものデザインが張り巡らされています。彼女は石に触れ、話し、その宝石の山に手を通し、それぞれの石の個性とエネルギーを感じるのです。その姿を見るにつけ、彼女の宝石への熱い思いが伝わってきます。

ブルガリは、ギリシャからやってきたソティリオ・ブルガリが、銀職人として会社を設立、その後ローマに店を構えるまでになり、さらにはパリへ進出。この業界で、宝石の多色使いによるジュエリーを作った最初のブランドとしても知られています。ニコラはソティリオの孫で、ルチアは彼からいろいろなことを学び、世界で最も重要な宝石を購入する女性として知られるようになったのです。

2021年の新作コレクション、マニフィカを発表するにあたり、その目玉の1つとなったのがベネチア映画祭で女優のゼンデイヤが着用する、センターに大粒エメラルドが入ったセルペンティ（ヘビ）のネックレス。主役のエメラルドは、ルチアが懇意にしているジャイプールの業者、ヴィッキー所有の原石からこのネックレスのために今回切り出したもの。ヴィッキーからすれば自分の「こども」のように大切にしていた原石をブルガリのために提供したのです。彼の工房でカットや研磨している場面の一部にカメラが入るなど、普段なかなか目にする機会のない作業工程が見られるのも興味深いです。

こうしてルチアの希望していたオーバルのカボション、93カラットのエメラルドのルース（裸石）は、ローマのルチアのオフィスへ向かいます。

その後、経験豊かなデザイナーによってデザインが起こされ、ブルガリの工房の職人によって丁寧に製作されます。ルチアは、その前に着用する予定のゼンデイヤにもルースのエメラルドを見せるためにロンドンにも足を伸ばしています。ゼンデイヤは「特別なジュエリーなのだからその製作過程を知りたい」と切望、ルチアはそれにも丁寧に対応します。

さまざまな人たちの手によって完成したエメラルドのネックレスは、ベネチア映画祭のレッドカーペットでそのゴージャスな姿を披露。画像でありながら、思わずため息がもれてきてしまうほどの存在感です。

このドキュメンタリーには、他にもブランドアンバサダーとして、イタリアのファッションブロガー、キアラ・フェラーニ、アメリカの女優、プリヤンカー・チョープラージョナス、モデルのリリー・オルドリッジ、K-POPグループ、BLACKPINKのメンバーのリサが登場。キャンペーンの撮影シーンや、ミラノで行われたジュエリーコレクションの舞台裏などの場面もみどころの1つ。とても完成度の高いドキュメンタリーフィルムとなっています。

「インサイド・ザ・ドリーム」は、動画配信サイトAmazonプライムビデオで見ることが可能です。

TOP画像出典：www.bulgari.com/

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