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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

NO.263 1月の誕生石。一見ルビーと間違えるくらいの深い赤が魅力、パイロープガーネット

Text=Brand Jewelry

1月の誕生石と言えば、ガーネット。「ガーネット」と一口に言っても、赤・紫・赤紫・黄色・オレンジ・黄緑・緑・青緑などバリエーションが豊富。鉱物学的には14種類に分かれ、なんと40種類以上も色があることがわかっています。

ただ多くの人がイメージするガーネットは、深みのある赤。赤色のガーネットの代表格は、パイロープ。パイロープとは、ギリシャ語で「燃える目」「炎」を意味するpyropos(ピロポス)から由来しています。

パイロープは1500年頃、中央ヨーロッパ(現チェコ)のボヘミアで鉱床が発見されました。数あるガーネットの中でも良質なものとして知られ、18~19世紀にかけて大流行。ボヘミアは宝飾品の一大生産地となりました。当時この地を統治していたハプスブルク帝国の繁栄の一助にもなったとも言われています。

現在アメリカのワシントン、スミソニアン国立自然史博物館では、当時制作されたティアラを見ることができます。セッティングされた宝石はもちろんすべて、ボヘミア産のパイロープガーネット。その頂点には大粒のローズカットのガーネットがはめ込まれています。その深い輝きと迫力は見る者を圧倒します。

ボヘミア産のガーネットジュエリーは、隙間なくびっしりとガーネットがセッティングされているのが特徴。さまざまなデザインがありますが、典型的なものとしてはゴシック調のクロスモチーフが挙げられます。

上質のパイロープガーネットは、ルビーにみまごうほどの美しさ。18~19世紀にはルビーだと信じられていた宝石の多くが、科学の進歩により実はパイロープガーネットだったということがわかっています。

残念ながら、現在ではボヘミアでの採掘量は減少し、価値が上がっています。お手ごろなものは、偽物かも?と疑ったほうがよさそうです。

他にもルビーに匹敵する色をもつと言われ、人気のあるのが、アメリカのアリゾナ州ナバホ族居住区で産出されるクロムパイロープ。蟻が巣を作るのに邪魔になるので捨てる豆粒よりも小さいガーネットで、これを集めたものが「蟻塚ガーネット」と呼ばれ、販売されています。「アリゾナ・ルビー」とも呼ばれていますが、これはルビーと誤解されるような誤った呼称(フォルスネーム)です。

他にも、パイロープガーネットは採掘される場所から命名した「コロラド・ルビー」「カリフォルニア・ルビー」「ケープ・ルビー」といったフォルスネームもあるので、購入時には注意が必要です。

劈開がなく、7~7.5という硬さをもち、どんなタイプのジュエリーでもセッティングが可能で、デザインのバリエーションも豊富なパイロープガーネット。衝撃に弱い以外は、比較的取り扱い扱いやすい宝石という点も魅力のひとつです。

素人には色が全く違うので意外に思いますが、パイロープガーネットはダイヤモンド発見のための指標鉱物です。パイロープガーネットが存在するところに、ダイヤモンドが見つかるという発見が1970年、アメリカの地質学者ジョン・ガーニーによって発表されました。

日常のスタイルに、深みのある甘さを抑えた赤をひとつプラスするだけで、大人の女性を演出してくれます。

トップ画像:The Smithsonian’s antique pyrope hair comb

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TOP画像出展:ルイヴィトン のドッグカラー。jp.louisvuitton.com

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