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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.77 パブロ ・ピカソが制作したジュエリーがオークションに登場

BJI ブログ No.77

サザビーズ、クリスティーズと並び、世界屈指の規模を誇るオークションハウスとして知られるBonhams(ボナムス)。

去る10月12日、ロサンゼルスで「Wearable Art(ウェアラブルアートー身に着ける芸術):クロフォードコレクションのジュエリー」のオークションが開催されました。

ロサンゼルスのコレクター、バイロン&ジル・クロフォードが生涯にわたって収集してきた30人以上の著名なアーティストの300点以上の作品が出品され、中には本や展示会で紹介されたこともあるほど有名なものも含まれています。95%が落札され、落札総額は170万USドル(約1億8700万円)以上という結果でした。

出品された作品の中で特に注目されたのが、巨匠パブロ・ピカソとシュールレアリスムのアーティスト、マックス・エルンストが、1970年代にパリ、ヴィクトル ・ユーゴーの曾孫、フランソワ・ユーゴーが開いた工房「アトリエ ユーゴー」で手がけた数百点しかない希少性の高いジュエリー。

特にピカソのLe Grand Faune(ル グラン フォウン 偉大なる牧神)と呼ばれるK23ゴールドのペンダントは、専用のジュエリーボックスもついて、落札価格は 62,812ドル(日本円にして約720万円)。出品されたコレクションの中で最高値をつけました。

ピカソのジュエリーというと、ティファニーのデザイナーとして有名なパロマ・ピカソを思い浮かべますが、なんと父親のパブロもジュエリーを作っていたんですね。ニヤっとした表情の牧神の顔がとってもユニークなこのペンダントは、彼が過去に制作した「牧神」をテーマにしたリトグラフに通じるものを感じさせます。

他にも、当ブログNo.65で紹介したアート・スミスの作品が、20点以上登場。素材は、シルバー、真ちゅうまたは銅を使ったものが多く見られますが、いずれもモダニズムの影響を受けたポップでしゃれたデザインが印象的です。

また同時期、メキシコのタスコを高品質のシルバーデザインの中心地として一躍有名にしたウィリアムス ・プラートリングの作品やネイティブアメリカンのアーティスト、チャールズ・ロロマ、ジェシー ・モノンヤの作品も出品されています。

中でも、チャールズ ・ロロマが1975年頃に制作したK14ゴールドにトルコ石、ラピスラズリ、サンゴがセッティングされた色鮮やかなブレスレットは、56,563ドル(日本円で約622万円)、ピカソのジュエリーに次いで2番目に高い値をつけました。

クロフォードコレクションは、さらに北欧のものにも及びます。非対称の形と織り目加工の表面で知られるビョルン・ウェクストロムやジョージ ・ジェンセンなどクロフォード夫妻が生涯の数々の旅で出会ったジュエリーたちも出品されました。

このオークションの出品者であるジル ・クロフォードは、「ジュエリーを持つこと、そしてそれを身に着けることが私の喜びです。私は一生をかけて、尊敬するアーティストの最高のジュエリーを探し求めてきました。素晴らしいジュエリーを身に着けていると、私はアーティストとのつながりを感じ、作品が語っている物語の一部になったことを実感します。ジュエリーは身につけることを目的としていますが、コレクターの手によってそれ以上の超越した存在となりうるのです」と語っています。

20世紀のモダニズムやコンテンポラリーアートなどに影響を受けたジュエリーは、まさに「ウェラブルアートー身に着ける芸術」というタイトルにぴったりだと言えるのではないでしょうか。

トップ画像:https://www.nationaljeweler.com/articles/10267-see-the-results-of-wearable-art-jewels-from-the-crawford-collection

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