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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.76 メレーダイヤモンドとは? サステナブルとトレーサビリティの動きにも注目

BJI ブログ No.76

ダイヤモンドというと、一粒石のダイヤモンドリングを思い浮かべる方が多いことでしょう。シンプルな一粒石も素敵ですが、センターストーンの腕の部分に小粒のダイヤモンドがちりばめられているデザインもよく見られますよね。

その小粒のダイヤモンドは「メレーダイヤモンド(通称メレー)」と言います。「メレー(Melee)」とはフランス語で人々がごった返して混雑しているところから転じて「小粒石」を意味しています。メレーのサイズに関する定義は国や取引の過程によって違いますが、大体0.05~0.2カラットくらいまで。米国宝石学会(GIA)では、0.2カラット未満のダイヤモンドおよび宝石をメレーと呼んでいます。多くの場合、メレーは丸いラウンドシェイプにカットされますが、エメラルド、プリンセス、ラディアント、マーキスなどの様々な形も見られます。

メレーは、主役のセンターストーンを引き立てるいわばバイプレーヤーとしての役割を担うことが多いですが、以下のようなメレーだけでデザインを作る場合もあります。

パヴェ:指輪のアームに敷き詰めるようにびっしりとメレーをあしらったデザインのこと。フランス語の「石畳」を意味するpavee(パヴェ)から来ています。それぞれのダイヤがきらきらと美しい光を放ち、ゴージャスな手元を演出することができます。

エタニティ:同じカット・同じサイズのメレーダイヤをアームに並べたデザインのこと。全周ぐるりと贅沢にメレーをセッティングしたフルエタニティ、サイズ直しがしやすい半周セッティングしたハーフエタニティがあります。

パヴェやエタニティは石を載せる台座の高さがないため、衣類に引っ掛かりにくく日常生活の邪魔になりにくいというメリットから、最近人気のあるデザインです。

メレーダイヤモンドは鑑定書がつきませんが、ジュエリーの完成度を左右する重要な石。小さいからといって侮ってはいけません。

たとえば、「メレーダイヤモンドが並んだデザインのリングを選んだら、メレーの1つが黄色っぽいのが気になる。1つだけならわからないような薄い黄色でも、無色のダイヤの中に並んでいると色の違いが目立つ。もっとよく見て買うべきだった」とか「メレーの入った結婚指輪に婚約指輪を重ねづけしたら、婚約指輪のセンターストーンに比べて結婚指輪のメレーの輝きが今一つ暗くて気になる」という声があるように、メレーの存在感は身に着けたときに際立ちます。

メレーダイヤモンドは、最新のダイヤモンドカッティング設備のある工場で大量生産され、その後人の手によってカッティングと選別が行われます。0.1カラットなら直径にすると3.0mmくらいの大きさのものをカット、選別するというのですから、気の遠くなるような作業。それをカラット数も色もいろいろな100カラット以上のパーセル(小さな包み)にして、ジュエリー製造業者に販売されます。ジュエリー製造業者は、そのパーセルから製作するジュエリーに合ったメレーを手作業で探して出します。

たった1つのジュエリーに数10粒、時には数100粒のメレーが使用されることもあるだけに、その選別作業も大変な労力が費やされているのです。

しかも、そのパーセルの中身は宝石商や宝石メーカーが使用できない石も多くあり、 「デッドストック」となってしまうという問題が常に彼らの頭を悩ましてきました。

メレーダイヤモンドのデッドストックを無くす、サステナブル&トレーサブルなデジタルサービス

最近、アントワープにあるEL-RANというダイヤモンド供給会社が、その問題を解決すべくSmartBox®というサービスを立ち上げたというニュースが発表されました。それによると同社は、ダイヤモンドの調達から消費者に届くまでの経路を追跡する独立した第三者機関 iTraceiTと連携、出自が明確で健全な小さいサイズやメレーダイヤモンドを色、品質において細心の注意を払って選別、すぐに使用できるようにカスタマイズされたものをメーカーや小売店など関係業者に提供することが可能になったということです。

「無駄なストックを失くす=サステイナブル」「出自の明確化=トレーサビリティ」といった動きは、ダイヤモンド業界でも広まりつつあります。

トップ画像:ピンクダイヤモンドリング VRJ-14BJ

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