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ブランドジュエリーオリジナルの特集記事です。

パリのオートクチュールがベースのニナ リッチ(NINA RICCI)。新作コレクションは、ゴールドやカラーストーンで多面的な女性らしさを表現

Written by Machida Akemi

ニナ リッチ2021年秋冬 新作コレクションのテーマは「NEW PICTORIALITY(ニュー ピクトリアリティ:新しい絵画)」。オランダの絵画や情景からインスピレーションを受け、今作はよりシルエットの美しさにこだわる。


ファッション界のクリエイティブな現場で新しいものを生み出そうとする時、最初に考えるのはコンセプトです。女性像や変化する消費者の意識など、時間をかけてリサーチし、修正を重ねながらデザインが決まります。丁寧な服作りのクチュールがベースにあるニナ リッチのジュエリーは、コンセプトを明確に打ち出したうえで作られています。2021年秋冬の新作コレクションは、人々を魅了してやまないオランダの絵画や情景を背景に、女性らしさの新しいビジョンを探求したジュエリーです。

今シーズンはオランダ人の画家キース・ヴァン・ドンゲンの作品に注目しています。彼は目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現したフォーヴィスムの作風で、今回のコレクションでは明るい色彩やコントラスト、のびのびとした雰囲気がデザインソースになっています。そして、パリのアトリエで構築されたコンセプトを基に、日本の一流の技術を持ったクラフトマンによってニナ リッチのジュエリーは作られます。

「MASCULIN RÉCONFORTANT(マスキュリン レコンフォルタン:気分が安らぐジェンダー)」
左から。 K18。リング ¥277,200 Pt・ダイヤモンド。リング ¥558,800  NINA RICCI

しなやかな曲線美を描いたゴールドのラインから光の陰影が生まれるリング「MASCULIN RÉCONFORTANT(マスキュリン レコンフォルタン:気分が安らぐジェンダー)」は、伝統的な紳士服のチェック柄からインスピレーションを得ています。

グラフィカルな形状のデザインが指に沿うように美しい曲線が重なり合うリングはゴールドの地金だけでも十分華やかですが、プラチナのリングには繊細にダイヤモンドがあしらわれ、女性のしなやかな指を美しく引き立てます。

タンザナイトとイエロートパーズの色使いが美しいリングとネックレス「JOUR ET NUIT(ジュール エ ニュイ:夜と昼間)」は、オランダの情景をイメージして作られています。オランダの首都アムステルダムと言えば、市内を網の目状に美しい運河が流れ、インスタ映えする場所がたくさんあります。

空の青を反映してブルーに染まる運河の色をタンザナイトで、明るい昼間の景色をイエロートパーズで、夜と昼をそれぞれ表現しているかのようなカラーストーンのコントラストがきれいです。角度によって青にも紫にも見えるタンザナイトと鮮やかな黄色のトパーズは、シックな秋冬のファッションの差し色にもなってくれます。

「COLOMBE(コロンブ:ハト)」 K18。ネックレス ¥378,400  NINA RICCI

丸い額縁で飾られた絵画のようなクラシックなゴールドジュエリー「COLOMBE(コロンブ:ハト)」は、ニナ リッチのアイコンとも言うべきハトをモチーフにしたネックレスです。ハトのモチーフは1948年に発表された香水「レールデュタン」(時の流れ)のボトルデザインにあしらわれ、平和と自由への願いが込められました。羽根を広げて自由に飛び立つハトは、どんな時も前向きに生きようとする女性にパワーを与えてくれます。

創業から今日まで引き継がれる、時代に即したニナ リッチの女性らしさ

創業者のマリア・ニナ・リッチはイタリアで生まれ、13歳の時にパリに移住します。10代でお針子としてキャリアをスタートさせ、宝石商のルイ・リッチと結婚。1932年にはオートクチュールメゾン・ニナ リッチをパリのカプシーヌ通り20番地にオープンさせます。

マリア・ニナ・リッチの仕立て方は、デスクで頭に浮かんだものをデッサンしていくのではなく、顧客の体に直接布地を当てて裁断していくという彫刻的な技法で評判となります。ドレープやプリーツの数、ウエストの位置など、女性が美しく見えるシルエットにこだわってドレスが作られました。

1979年、モンテーニュ大通り39番地に新しいブティックをオープンさせ、会社は500人以上のスタッフを抱えるようになるほど急成長しました。マダムが引退した後は数名の才気溢れるデザイナー達に引き継がれ、現在はルシェミー・ボッターとリジー・ヘレブラーの2人がクリエイティブ・ディレクターに就任しています。今回のジュエリーコレクションがオランダの絵画や情景からイメージして作られたのは、ルシェミー・ボッターがカリブ海に浮かぶオランダ領キュラソー島出身で、リジー・ヘレブラーがアムステルダム出身ということに関係しているのかもしれません。2人によるパワフルで大胆な要素がデザインに加味されつつも、ニナ リッチの創業時から続くロマンティックでフェミニンな女性らしさは変わることなく受け継がれています。

*価格はすべて税込。
*トップ画像:「JOUR ET NUIT(ジュール エ ニュイ:夜と昼間)」K18・タンザナイト・トパーズ。リング ¥365,200 ネックレス ¥387,200  NINA RICCI

お問い合わせ: エスジェイ ジュエリー 株式会社
TEL 03-3847-9903
https://www.sjj.co.jp/ninaricci/



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