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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.21 アメリカの蚤の市で見つかった35億円のイースターエッグ

BJI ブログ No.21

春分の日が過ぎて、最初の満月を迎えた直後の日曜日はキリスト教を信仰する人たちにとってはキリストの復活を祝うイースター(復活祭)。2021年は4月4日になります。

元来、卵の殻に華やかな色を塗ったゆで卵を飾りますが、現代では、ウサギのキャラクターとともに卵の形をしたチョコレート菓子やキャンディなどを詰めたプラスチックの卵がお菓子屋さんのショーウィンドウに並び、春の到来を感じさせてくれます。

ジュエリーで「イースターエッグ」と言えば、やはりロシアの、とりわけファベルジェのイースターエッグを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

大多数の国民がロシア正教会に属しているロシアで、イースターは皇帝から農民に至るすべての人々が祝った年間で最も重要な祝日。ファベルジェ以前からすでに王家や貴族たちの間では宝石をちりばめた卵を交換することがよくあり、アレクサンドル3世の戴冠式まえにも数多くの卵が届けられたとか。

ロシアの農民たちの間でも、色を付けた木製の卵を交換していて、卵の中にはロシアのマトリョーシカのような形の入れ子人形が入っていたりしていたそう。

ファベルジェの最初のイースターエッグは、1885年アレクサンドル3世が皇后のマリアに贈った黄金のめんどりで、皇后がそれを大変気に入ったため、毎年贈ることとなり息子のニコライ2世の代もそれを継承し、1916年まで母后と皇后へそれぞれ1点ずつ贈られました。その後ロシア革命が起こり、ロマノフ王朝は滅亡、50数点あったイースターエッグはその多くが国外に散逸したのは皆さんご存じの通り。現在では、モスクワのクレムリン宮殿に10点、サンクトペテルブルグのファベルジェ美術館に9点のほか、アメリカ、イギリス、スイスの美術館や個人所有となっていますが、2014年まで行方不明のものが8点ありました。

そのうちの1点は、米国の蚤の市でくず鉄業者によって約1万4000ドル(約140万円)で買い取られていたことが判明。アレクサンドル3世が1887年に皇后マリアに贈った「第3の卵」で、その後民間のコレクターに売却され、その価格は推定で3300万ドル(34億円)と言われています。

「第3の卵」は2014年4月14日~17日の4日間、コレクターの好意により、売買の仲介をした英国アンティーク宝飾品取引会社ウォルツスキー社ロンドン・ショールームで一般公開され、ニュースにもなりました。 行方不明のエッグは、あと7点。アメリカの蚤の市、ねらい目です!(笑)(C)

TOP画像:FABERGÉ


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