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ジュエリーはミュージアムで(V&Aミュージアム)


「デザイン」がテーマの洗練された博物館

ロンドンのサウス・ケンジントン駅から徒歩5分。自然史博物館、人類学博物館、科学博物館などにもほど近い、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館。芸術とデザインを専門としたコレクションでは、作品の質とバラエティに富んだ内容で世界随一と言われる人気のミュージアムです。
1851年に開かれたロンドン万国博覧会の収益や展示品をもとに産業博物館として始まった同館は、イギリスのデザイナーや製作者を啓蒙し、工芸品や工業デザインの質を高める教育機関としての側面も持っていました。1857年に現地へ移転しサウス・ケンジントン博物館と呼ばれていましたが、ヴィクトリア女王の命で新棟が建てられた際、女王の夫アルバート公を記念して現在の名称に。
「デザイン」を主要テーマに掲げるここでは、家具や衣裳類、ジュエリー、織物、陶磁器、ガラスや金属の細工など、実用と美しさを兼ね備えた、生活の中の優れたデザインが数多く見られます。現代のデザイン以外に、彫刻や絵画といったファインアート、古代の出土品やルネサンス期の芸術品なども充実。彫刻、絵画、ステンドグラスなどを集めた「中世&ルネサンス」ギャラリー、古代アジアから現代ヨーロッパまでの陶磁器を網羅した新設の「陶磁器」ギャラリーなども人気です。
世界中から集めた収蔵品は約300万点。その多くがサウス・ケンジントンの本館や、ロンドンのイーストエンドにある「こども博物館」で展示されています。

モダンで幻想的な雰囲気にあふれた展示室。

2世紀のクリエーションを所蔵するミュージアム

ル・グラン・サロンに隣接するミュージアムは、世界でも類を見ない素晴らしいジュエリーのミュージアムです。所蔵されているのは、1,000個のティアラ、350個の原型、100,000枚ものデザイン画、すべての受注記録などで、2世紀以上に渡るショーメの歴史でもあります。入り口には、創業者ニトが製作したジュエリー・セットをつけたマリー・ルイーズ皇妃の肖像画が飾られています。ウィンドウには、ナポレオンがマリー・ルイーズに贈ったティアラのレプリカや7個のルビーがついた櫛等、ショーメの栄華の時代を実証する宝飾品の数々が展示されています。
1919年にジョゼフ・ショーメが、ドウドービル公爵夫人に注文を受けたブルボン・パルムのティアラも、ミュージアムの貴重な所蔵品です。このティアラは、ショーメの新しい広告ヴィジュアルに使用され、トップモデルのステラ・テナントの髪を飾りました。また、「シャルルマーニュの王冠」の名が彫り込まれた、ナポレオン皇帝の戴冠式に使用された王冠のデザイン画も、言うまでもなく、貴重な所蔵品です。レディ・マウントバッテン、ロシアのウラディミール大公妃、プリンセス・ユスポフ等、ショーメの有力顧客だった女性達の写真も多く展示されていますが、彼女達のエレガントな姿には目を奪われます。テーブルの上にある顧客名簿には、19世紀に日々受けた注文が記されていて、興味をそそられます。さらに、アーカイブには、36,000枚の写真、80,000枚の原版、34,000枚のガラス版等が所蔵されています。

左上:ネックレスとイヤリングのセット。ゴールド、シルバー、エメラルド、ダイヤモンド。1806年頃、仏。中上:エリザベス1世の細密画入りロケット。ゴールド、エナメル、ダイヤモンド、ビルマ産ルビー、水晶。1595年頃。右上:ジャン・フーケのデザインによるブレスレット。パトリシア・V・ゴールドシュタインからの寄贈。左下:金台にエナメルとブリリアントカットのダイヤモンドが入ったボックス。ファベルジェ 作。1893−1903年。中下:トロイのヘレンネックレス。制作カルロ・ジュリアーノ、デザインはエドワード・ポインター。1887年。右下:ルネ・ラリックのアザミのコサージュ。ガラス、金、エナメル。1903年。

スタイリッシュな空間で歴史的名品に出合う

ジュエリー好きなら一度は訪れておきたいのが、2008年にリニューアルされたウィリアム&ジュディス・ボリンガー・ジュエリーギャラリー。ギャラリー名にも冠された資産家のボリンガー夫妻の莫大な寄付により、4年の歳月をかけて大変身しました。
所蔵品は約3000ピース。紀元前5世紀ごろの古代ギリシャのペンダントや、ケルトの大きな胸当てといったプリミティブなゴールドジュエリー、中世に登場したラブリングやカラーストーン、宗教色の濃いルネッサンス期のジュエリー、紙やアクリルなどで作られたコンテンポラリー作品など、古代から現代までのジュエリーの歴史を追える展示になっています。
その中には、ロシアの女帝エカテリーナのダイヤモンド、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌのティアラなど謂れを持つ逸品も含まれ、特にエリザベス1世が廷臣に贈ったエナメルペンダントは必見。エドワーディアン、アール・ヌーヴォー、アール・デコと近代のジュエリーになると、カルティエやブシュロンなどおなじみのメゾンの作品が登場します。
そして、そんな歴史的な名品が並ぶ展示スペースは驚くほどスタイリッシュ。設計したエヴァ・ジリクナは、ハロッズのファインジュエリーコーナーのデザインも手がけた建築家。潔いほどシンプルな空間が、ジュエリーのひとつひとつを際立たせています。博物館の中でも、異空間に迷い込んだような気分を味わえるこのギャラリーで、すばらしいジュエリーたちとの出合いを楽しんでみませんか。

TOP画像 : 重厚な石造りの正面入り口。

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