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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

No.190 近くの庭を掘り起こしたら、17~18世紀の希少なジュエリーを発見。オークションで約192万で落札!

BJI ブログ No.190

「歴史的価値の高いアンティークのオークション」というと、セレブや裕福な人たちが売買するイメージですね。しかし、時に一般の人たちからの出品の中にも掘り出し物があることも……。

2023年3月14日、ロンドン・メイフェアを拠点にするオークションハウス、ヌーナンズ (Noonans)では、定年を迎え退職したイギリス人男性2人からアンティークリングが出品され、話題となりました。

1つは、17世紀のゴールドシールリング。2012年 11月、当時71歳、元学校教師のリチャード・マッケイ氏が、イギリスのブラウントン村にある16世紀の農家の庭で造園をしていたときに発見しました。

「リングは1620年のもので、デボン州カロンプトンのハンフリー・コッカラムという人物の所有である可能性が非常に高い。リングの正面にはコッカラム家の紋章が、背面にはイニシャル『H C』が刻まれています」。ヌーナンズで工芸品と骨董品のコンサルタントを務めるナイジェル・ミルズ氏は述べています。

コッカラムは 1620年に家族の長と記録され、リングが発見された場所から約42マイル東、ヒラーズドン マナー(13 世紀から16世紀初頭までヒラーズドン家が所有していたマナーハウス)からほど近くに居を構えていました。

ヌーナンズによると、コッカラム家は教会の後援者であり、彼らの姓は「小川のそばに住む者」を意味する古い英語の単語「コッカン」に由来しているということです。

リングは、平らな楕円形のベゼルに3つのヒョウの頭と3つの百合の花が刻まれた四角い上部の楯を含む紋章からなっています。楯の上には錨を持った腕の紋章と、両脇に葉っぱのデザインが施されています。デザイン全体は、ペレットの縁取りで囲まれています。

マッケイ氏は「リングを掘り起こしたときはとても興奮しました」と語りました。彼自身そんな大変な発見をするとは思わなかったようですが、12,000イギリスポンド(約192万円)で落札されました。

そしてもう一1つは、メメント・モリのリング。マッケイさんの発見から10年後、当時65歳の元公務員、デヴィッド・ニックリン氏にも同じような出来事が起こったのです。彼は過去に何点かゴールドのリングを見つけたことがあり、その日も以前に何度も捜索された野原で金属探知機を走らせていました。

いつもとは違う手ごたえを感じ掘り起こしてみると、1700年代のメメント・モリ リングだったというわけです。

ヌーナンズのコンサルタント、ミルズ氏は「リングには棺の形をしたロッククリスタルがベゼルにはめ込まれており、内側には 1730年1月28日の日付、『エリズ・タッカー 65 歳』という名前、そして『あなたの死を覚えている』という意味の『メメント・モリ』が刻まれています。指輪の腕の部分にはメメン・モリの特徴でもある骸骨のデザインが施されています」と述べています。

タッカー家はデヴォンで最初に記録された、イギリス西部の典型的な羊毛を掃除する人の名前です。17世紀は死亡率の高い時代であり、メメント・モリ ジュエリーが復活。その人気は、18世紀初頭に頂点に達しました。着用者は死の責任を問われるとして、指輪は通常小指にはめられ、罪のない人生を送ることを胸に刻んでいたということです。

リングの状態は良好で、オークション推定落札価格は 3,000~4,000 ポンド (49万~65万円)でしたが、300年経っていないリングだったため、英国の宝物法では宝物として分類できません。一時スウォンジー博物館で記録されていましたが、その後ニックリン氏に返還されました。

3月のヌーナンズのオークションには、他にも12世紀の指輪や15世紀~18世紀のポージーリングが出品されました。

それにしても、野原や庭を掘り起こすことでアンティークジュエリーが発見できるなんて、イギリスがうらやましいですね。

出典: noonans.co.uk


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