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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

NO.279 耳飾りの歴史。ピアスは古代から、イヤリングの登場は17世紀から

Text=Brand Jewelry

「イヤリング」というと、クリップで耳にはさむクリップ式やバネ式、ねじ留め式のものをイメージする人が多いでしょう。しかし、本来イヤリングとは、耳につける装飾品、あるいは耳飾りすべてを指します。

ピアスやイヤーカフのほうが、イヤリングよりも歴史が古い

耳の一部に穴をあけるピアスはもちろん、最近人気のイヤーカフもイヤリングです。日本では耳飾りは「耳に穴をあけないイヤリング(以下、イヤリング)」から始まり、ピアス、そしてイヤーカフへという流れをたどってきました。

ところが実際は、イヤリングよりもピアスやイヤーカフのほうがずっと長い歴史を持っているということをご存知でしょうか。

一番古いのはピアス。1991年にオーストリアとイタリアの国境の山岳地帯で発見された、5000年以上前の「アイスマン」と呼ばれるミイラに見られます。耳たぶには直径7~10ミリほどのピアス穴が開いていて、おそらく木、骨、またはブロンズなどの金属で作られた耳栓を使用して開けられたものと考えられています。

紀元前 2200~1200年古代エジプトでは、ピアスは重要な装飾品。ファラオの墓からも多くのピアスが見つかっています。素材はゴールドやシルバーで、デザインはシンプルな輪っかやスタッド型やフック型が見られます。

同じ頃、日本は縄文時代。やはり耳たぶに穴をあけ、そこに耳飾りをはめ込んだり、耳飾りを通していました。日本もピアスをしていました。穴は、幼少期に小さなものを開け小さなピアスをつけ、大人になるにつれピアスも開ける穴も徐々に大きくしていったようです。現代と比べるとかなり大きい穴、しかも穴をあけるのに尖った石や動物の骨を使っていたというのですから、その痛さはいかほどだったものか。耳飾りの多くは石製で大きさは6センチ、重さは70グラム以上あるものがあります。身につけたらかなり重そうです。

古墳時代(250年~538年)には、金属製の輪っかのものが存在しています。直径が3.5センチで、地金の内側が空洞になっているため、重さは52グラムと縄文時代に比べ軽くなりました。また耳たぶに輪っかをはさむようなイヤリングタイプ(今で言うイヤーカフ)のため、痛い思いをして耳に穴を開けなくてもよくなりました。

その後飛鳥、奈良時代から江戸幕末期まで千年以上もの間、日本における耳飾りをはじめとした装身具の歴史は一旦幕を閉じます。

現代でいう「ジュエリー」が日本で作られるようになったのは、明治・大正時代になってからのこと。ただ欧米の女性たちが身につけている耳飾り(ピアス)に対し、日本人の多くは「耳に穴をあけるなど野蛮人のすること」とかなりの拒絶反応を示し、なかなか普及しなかったのです。

その後日本の市場にイヤリングが出回るようになったのは、高度成長期が始まった昭和40年頃から。歴史を紐解くとイヤリングは、ヨーロッパで17世紀頃に登場したものです。さらに、日本でピアスが受け入れられるようになったのは、1970年代後半頃から。10代後半~20代の女性を中心に徐々に人気となり、1990年代頃から主流となります。

一方、イヤーカフの歴史は、紀元前2000年にさかのぼります。最初はカファ(Kaffa)と呼ばれ、イギリス諸島で行われた発掘中に埋葬地で発見されました。それから様々な文化や時代の中で女性が着用してきました。

現代のようなイヤーカフは、第一次世界大戦後の1920年代にアメリカで誕生しました。当時はイヤーライト(Earrite)と呼ばれ、アメリカのエリート層の女性たちのリクエストに応える形で作られました。1950年代にはハリウッド女優、マリリン・モンローも身につけていたとか。1980年代以降は、さらにイヤーカフと名前が変わり、欧米のファッションショーでも登場し始めますが、日本で本格的に広まったのは2015年頃から。

特にコロナ禍、マスクをつける生活のなかでイヤーカフの人気が高まり、現在では様々なバリエーションが楽しめるようになりました。 イヤリング一つとっても、時代によってつけるものが変わっていくことを実感します。

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アメシスト


K18ゴールド枠にミル打ちを細かく施したアメシスト のピアス。裏側のファセットがアメシストの色と輝きに深みをもたせています。アメシスト は2月生まれのお守り、誕生石です。
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