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No.188 カンボジアの略奪品が返還される。犯人はクメール芸術研究家の権威、英国の骨董商

BJI ブログ No.188

情報開示が進み、歴史を見直す傾向にある今、かつての植民地や、政情不安から欧米へ流出したアジア諸国の貴重な芸術品やジュエリーなどの返還を求める運動が世界中で起こっています。

そんな状況下で、カンボジアのニュースが気になったので紹介します。2023年2月20日、カンボジア文化芸術省が「カンボジアから盗まれた古代の宝飾品のコレクションが返還された」と発表したのです。

盗難品は、9世紀から15世紀にかけてカンボジアを統治していたアンコール王国にさかのぼるもので、金やその他の金属で作られた王冠、ネックレス、ブレスレット、ベルト、イヤリング、お守りなどどれも貴重なものばかり。

カンボジアの文化芸術大臣プアン・サコナ氏は「宝飾品の多くは、これまでほとんど見たことがないものです。これらが返還されることで、世界に向け、アンコール帝国やその存在や研究が知れ渡ることになるでしょう」と語っています。

宝石は、英国の骨董品収集家兼ディーラーだった故ダグラス・ラッチフォードの邸宅から回収されたもの。ラッチフォードは、一時はクメール芸術の権威として一目置かれていましたが、2019年11月、文化財の密輸や顧客への詐欺行為でアメリカ連邦検事局から起訴されていました。

彼は、国際アート市場で売りさばくために通関書類を偽造し、収集家には虚偽の書類を提出して取引を行っていたとして告発されています。しかしながら、2020年起訴に対する答弁を行う前に88歳でこの世を去ってしまったため、起訴は却下されました。

家族は彼が亡くなった後、盗まれたコレクションをカンボジアに返還することを約束しました。そして2022年夏、カンボジアの調査チームの責任者であるブラッド・ゴードン氏がロンドンを訪れ、初めてコレクションを見ます。ゴードン氏はBBCに「見たとき、涙が出そうになりました。ひどいことに、この希少なコレクションは、車の後部座席の4つの箱に押し込まれていたんですよ」と語っています。

箱をすべて開封してみると、王冠、ベルト、イヤリングなど、77点の金と宝石がちりばめられたジュエリーが含まれていることがわかりました。推定11世紀と思われる大きな碗のようなものあり、まだ鑑定はされていませんが、純金でできているようです。専門家は、アンコール王族のご飯茶碗として使用された可能性があると考えています。

また、王冠の1つはアンコール時代よりも前のものではないかと思われ、7世紀に職人によって作られた可能性があるということです。

他にも小さな花の彫刻もありますが、それがなんのためにどのような使われ方をされたのかは不明です。

宝飾品がいつ、どのように盗まれ、どのようにしてロンドンに運ばれたのかは正確にはわかっていません。ただそれらの多くが、ユネスコの世界遺産に登録されているアンコール・ワットの壁の石の彫刻とぴたりと一致することだけはわかっています。

アンコール・ワットはフランスの植民地時代に略奪され、さらにほかの寺院の遺物もクメール・ルージュの支配下にあった1970年代、混乱の中で盗まれ、カンボジア国外へ流出してしまいました。ほこりっぽい箱の中で何十年も眠っていたカンボジアの宝物は、母国で再び往年の輝きを取り戻します。プノンペンで一般公開されることも決まりました。

出典: nationaljeweler.com   (Image courtesy of Cambodia’s Ministry of Culture and Fine Arts)


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