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ジュエリーと、ジュエリーにまつわるさまざまなエピソード

NO.229 かつて「ルビー」と呼ばれていたスピネル。歴史的価値のある、”あの宝冠”にも使用されていた!

8月の誕生石の1つ、スピネル。宝石の中で今一つ地味な印象ですが、世界の王室の宝物の中にはスピネルがセッティングされたもので、有名なものがいくつもあります。たとえば、英国王室の王冠にセッティングされている「黒太子のルビー」、そして「ティムール ルビー」。

「え?ルビーって名前がついているのに、スピネルってどういうこと?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

実は化学的検査のレベルが高くなる18世紀まで、赤い宝石のほとんどが「ルビー」と呼ばれていました。旧約聖書に出てくるルビー、そしてヨーロッパ諸国の戴冠用に使われたルビーは、実はスピネルやガーネットだったというわけです。

スピネルと判明した今もその歴史を尊重し、かつての名称がそのまま引き継がれています。

「黒太子のルビー」は、推定170カラット、長さ5cmもある大粒サイズ。1367年、英国王室が入手し、その後さまざまな人の手に渡りながら最後には英国王室に戻ってきました。 現在は英国王室の王冠の台座部分の正面、世界で2番目に大きいダイヤモンド、カリナンⅡの上にセットされています。スピネルの上部には正真正銘のルビーがセッティングされていることにも注目。ウェストミンスター寺院を去る際、チャールズ3世の頭上にも輝いていましたね。

「ティムール ルビー」のルビー(スピネル)は361カラットで、世界最大と言われます。1739年、ペルシアによるナディール・シャー襲撃でデリーに奪われるまで、ムガル帝国皇帝が所有していました。宝石には、その所有者の6人の名前が刻まれています。

1849年東インド会社がイギリスに持ち帰り、1851年のロンドン万国博覧会で展示。その後「ティムール ルビーネックレス」としてヴィクトリア女王の個人コレクションの一部になりました。現在はロイヤル コレクションに収蔵されており、「コ・イ・ヌール」同様その所有権が争われています。

ロシアの「エカチェリーナ2世のルビー」と呼ばれるものも、実はスピネル。398.72カラットという大粒で、1762年、彼女のために作られた王冠のセンターの上部、十字架の下につけられています。ロシアから国外に一度も出たことがないこの王冠は、現在はクレムリンで保管されています。

あまり知られていないのが1602年に制作されたオーストリアのルドルフ2世の王冠です。ゴールドの台座にパールやダイヤモンドを贅沢にあしらい、中央の部分にパールに囲まれるようにセッティングされているのがスピネル。制作された年から、当時はルビーと考えられていたと思われます。

スピネルは価格の面ではルビーより手頃ですが、大粒で上質なものはほとんど見つからない希少性の高い石。特にレッドスピネルと呼ばれる赤い色のものは高く評価されています。

スピネルは原石の形がダイヤモンドと同じ八面体でカラーバリエーションが豊富なことから、注目度が上がっているとか。ハリウッドスターたちの中でも、2019年のメットガラでレディー・ガガが5カラットのピンクスピネルのリングで登場したり、テイラー・スウィフトが2018年リリースのミュージックビデオDelicateで、ブルーサファイア、ダイヤモンドにブルースピネルをミックスさせたイヤリングを身に着けていたり。スピネル、最近ちょっと気になる宝石です。


画像出展 :  internetstones.com

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ダイヤモンドの合計0.5ct、トップの直径が約1.3cm。胸元で存在感を放つダイヤモンドネックレスです。フラワーモチーフになるようにいくつものダイヤモンドをセッティングし、一部に設けられた空間により、デリケートな雰囲気が漂います。プラチナ、イエローゴールド、ピンクゴールドの3カラーからお選びいただけます。
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