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60年代ロンドン・モードを広めた、偉大なファッションクリエイターの軌跡「マリー・クワント展」、2022年11月26日(土)~2023年1月29日(日)、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催

Written by Machida Akemi

古い伝統や階級文化が残るイギリスで、革新的なデザインを生み出したマリー・クワント。大量生産時代にいち早く反応した彼女の起業家としての先見性にもスポットを当てた展覧会。ステレオタイプな価値観に立ち向かっていった姿勢は、現代にも通じる輝きを放っています。


ライフスタイルや社会情勢を背景に、時代と共に変化してきたファッション。今ではあたりまえに知っているミニスカートですが、いつどこで作られて、誰がどんな風に広めていったのでしょう。

1960年代のロンドンのストリートカルチャーを牽引し、ミニスカートを広めた革新的なファッションデザイナー、マリー・クワントの展覧会「マリー・クワント展」が、2022年11月26日(土)~2023年1月29日(日)まで、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて開催されます。

《マリー・クワントのカンゴール製ベレー帽の広告》 1967年 Image courtesy of The Advertising Archives

マリー・クワントはミニスカートやカラータイツなど、西洋の伝統や階級文化に囚われた価値観とは異なる、革新的で若々しいデザインを世に生み出しました。そのクリエーションは衣服からコスメ、インテリアなど生活全般に及びます。

本展はマリー・クワントの出身地のイギリスでは約40万人が訪れた世界巡回展で、日本では初の回顧展です。芸術分野で有名なロンドンの博物館ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)より来日する約100点の衣服を中心に、小物や写真資料、映像などでマリー・クワントのデザイナーとしての業績と、時代を切り開いた起業家としての歩みを辿ります。

1930年、ロンドン郊外で生まれたマリー・クワントは子供の頃からファッションが大好きでした。ゴールドスミス・カレッジで美術を学び、そこで伴侶となるアレキサンダーと出会います。卒業後は、帽子店で修業。25歳でロンドンのチェルシー地区に、アレキサンダーらと小さなブティック「バザー」をオープンします。

伝統を重んじるイギリスで、ミニスカートを流行らせたのがマリー・クワントです。20世紀初めは、ファッションは一部の上流階級の人のためのもので、庶民は布を買って自分で作るしか方法はありませんでした。ヨーロッパでは当時、ウエストをきつく締め付けたクリスチャン・ディオールのニュールックが流行していましたが、そんな細いウエストに反発するように、マリー・クワントは街を歩く女の子たちのための躍動感にあふれたミニスカートをデザインしていきます。

欲しいけれど、この世のどこにもない若者向けの服を販売し、ブティック「バザー」は瞬く間に大人気となります。目を引く「BAZAAR」のロゴデザイン、奇抜なウィンドウディスプレイ、大音量で店内にかかるジャズなど全てが新しく、ジョン・レノンらロンドンの有名人も多数来店しました。

ロンドンが世界で最も刺激的な街として活気づいていた60年代は、スウィンギング・ロンドンというムーブメントが起こった時代です。ビートルズやツイッギー、ローリング・ストーンズらと共に、ファッションで世界中を熱狂させたのがマリー・クワントでした。


《ベストとショートパンツのアンサンブルを着るツイッギー》1966年
© Photograph Terence Donovan, courtesy Terence Donovan Archive. The Sunday Times, 23 October 1966

ジェンダーや階級意識などステレオタイプな価値観に立ち向かい、活動的で新しい生き方をファッションで表現したマリー・クワントは、海を越えアメリカでも人気に。「ジンジャー・グループ」というジンジャー(オレンジ・ブラウン)、マスタード・イエローなどの色彩で、トータルコーディネートしやすい低価格ラインのファッションを立ち上げます。本展では既製服の大量生産にいち早く反応し、アメリカなど各国に広がっていったデザインを紹介します。

自らミニスカートを身につけ、ファッションアイコンとしてメディアに登場する広報戦略も注目を集めました。1966年、輸出振興の業績を称えられ、エリザベス女王から大英帝国勲章を授けられた時、バッキンガム宮殿での式典にマリー・クワントは自身がデザインしたジャージー素材のドレスで出向き、世界中の新聞の一面で報じられました。

彼女の髪型を担当したのはヴィダル・サスーンです。当時、女性のヘアスタイルと言えばロングで、美容院に行っても髪を整えるセットが主流でした。ヴィダル・サスーンは乱れてもすぐ元のヘアスタイルに戻る「ファイブポイントカット」を開発。ショートヘアはマリー・クワントの代名詞となりました。


《マリー・クワントと、ヘアスタイリングを担当していたヴィダル・サスーン》1964年 
© Ronald Dumont/Daily Express/Hulton Archive/Getty Images

斬新なビジネス手法も次々と採用します。ブランドのシンボル、ロゴマークは今では欠かせませんが、1966年、明るいイメージのデイジーマークを商標登録し、現在に至るまで生産・販売のライセンス契約の要となっています。当時、洋服に誰も使ったことのない新しい合成繊維も積極的に採用し、ポリ塩化ビニールを使ったレインコートは大反響を巻き起こしました。

同展の開催に合わせて、マリークワントの素顔やデザインの秘密に迫るドキュメンタリー映画『マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説』が、東京・渋谷のBunkamura ル・シネマにて11月26日(土)より公開されます。映画も要チェックです。

マリー・クワント展

会期: 2022年11月26日(土)~2023年1月29日(日)
会場: Bunkamura ザ・ミュージアム 渋谷・東急百貨店本店横
休館日: 12月6日(火) 、1月1日(日・祝)
開館時間: 10:00〜18:00 (入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで (入館は20:30まで)
※状況により、会期・開館時間等が変更となる可能性があります。
入館料: 当日 一般 1,700円 大学・高校生 1,000円 中学・小学生 700円 未就学児は入館無料

本展は会期中すべての日程で【オンラインによる事前予約】が可能です。
ご予約なしでもご入場いただけますが、混雑時にはお待ちいただく場合がございます。
予約方法等の詳細は展覧会HPにてご確認ください。

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_maryquant/

お問い合わせ TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)

TOP画像:《ドレス「ミス・マフェット」を着るパティ・ボイドとローリングストーンズ》1964年 Photograph by John French © John French / Victoria and Albert Museum, London


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